白鵬も柔道メダリストに教えを受けていた

 当方が大相撲の世界で驚かされたのは、その強さはもちろんのこと、伝統世界の厳しさである。完全なる階級社会。年齢や学歴などまったく関係ない。番付が上の者が強くて偉い世界。そこになんの疑問も遠慮もない。関取にならなければ給料ももらえないのだから、一人前とは認められないのだ。

 しかし、そのヒエラルキーが強い力士を生み出す伝統のシステムになっている。悔しかったら自分で這い上がっていくしかないのだ。

 柔道の選手たちも、稽古だけでなく部屋の雰囲気や若手の処遇など、いろいろなことを感じたことだろう。場合によっては、恵まれている自分たちの環境を知ったことだろう。

 白鵬もかつて東京五輪男子柔道の中量級金メダリストである岡野功氏から柔道の指導を受けたことがある。白鵬が理想とする「後の先」(ごのせん)の相撲を完成するために、相手の力を利用して技を繰り出す岡野氏の柔道にヒントを求めたのだ。「後の先」とは双葉山が得意とした立ち合いの戦術で、相手の動きを見て一瞬後から立ち、すぐさま自分に優勢な形を作ってしまう取り口である。

 分かっているつもりでも、自分で自分のことは意外に分かっていないものだ。また他者の経験や考え方を聞くだけで大きなヒントを得ることもある。異業種交流会などと言うとかえって大袈裟なのかもしれない。いつでも、どこでも、私たちは小さな出会いに大事な何かを見つけるのだ。

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