サッカーW杯ロシア大会で日本代表は7月2日(現地時間)、ベルギーに逆転負けを喫した(写真:AP/アフロ)

 夏草や兵どもが夢の跡

 そんな芭蕉の句が思わず口をつくほど、ベスト16で散ったサッカー・ワールドカップ(W杯)ロシア大会での日本代表の戦いが、悔しくもあり、懐かしくもあり、また誇らしくもある。

 ベルギーに2対3で負けた後、ピッチから目を離すことができなかった西野朗監督の姿が、忘れられない。しかし、残念な敗戦の一方で、短期間でチームをベスト16まで引き上げた西野監督のチームマネジメントは、評価されるべきものだろう。

 

 予選リーグで「3戦全敗の可能性もある」と予想されていた。そんなチームが決勝トーナメントに進出。その要因は、もちろん選手たちの頑張りによるものだが、「おじさんジャパン」と揶揄された日本代表が持てる力を十二分に発揮した裏には、西野監督のチーム運営と巧妙なマネジメントがあったことは間違いないだろう。

 日本代表が取った戦術やフォーメーションなど、技術的な解説はサッカーの専門家に任すとして、本稿では「私たちの仕事にも通じるチームマネジメント」「勝つための組織づくり」という観点から西野監督が取った行動を考えてみたいと思う。

 それは、即効性があって、全体が有機的に動くチーム作り。西野監督の言動を整理すると、次のような態度が見えてくる。

 「語るべきは理想 やるべきは現実」

 

 まだワールドカップW杯の記憶が新しいので、ここは時系列に彼の取ったアクションを追いかけていこう。

 

 まず注目したいのは、代表23人のメンバーを発表する時に「ポジション」を決めることなく(呼ぶことなく)、メンバーを発表したことだ。その意図を汲み切れなかった日本サッカー協会の事務局が、メンバー表に「FW(フォワード)」や「MF(ミッドフィルダー)」という文字を入れたことが、西野監督には気に入らなかった。

 

 メンバー選考にあたっては、「ポリバレント」という言葉を出して、複数のポジションをプレーできることを基本的な条件にしたと語った。「ポリバレント」は、日本代表のオシム元監督が提唱した考え方だ。各選手が複数のポジションをこなすことによって、ゲームの中でも状況に応じて流動的に動き、しかもお互いが連動する有機的なサッカー。それをオシム氏は「日本を日本化する」と表現した。そのベースになるのが「ポリバレント」。