栗山監督の細かい気遣いで選手のプライドを維持

 4番を打つ者は、4番としてのプライドを持たなければいけない。そしてそのプライドがあるからこそチーム(監督)はその選手に4番を託す。栗山監督が「4番・中田」にこだわってきたのは、技術的にも精神的にも中田翔に「4番」に求められる資質を感じてきたからだ。

 だから、そうした選手を代えるのは実は繊細な作業なのだ。単なる打順の話ではない。選手としてのプライドに関わる大事な問題なのだ。

 これは野球だけの話ではないだろう。どんな仕事でも、いかなる立場の人でも、何かを任されてやっている以上、多くの人がそこにプライドを持って取り組んでいるはずだ。それを何の説明もなく仕事の内容やポジションが変更されれば、そこには必ず精神的な変化が起こる。落胆や憤り、誤解や猜疑心(さいぎしん)のようなものも生まれるかもしれない。

 変更の理由が業績不振や何かの失敗に起因しているとしても、その人のプライドを気遣うことは大事なことだ。一度傷ついたプライドはなかなか修復されない。失った自信は、仕事の質を低下させる。

 プロスポーツは、結果がすべての世界だ。成績が悪ければ、交代も当然のことである。この世界では、その扱いに何の説明もないこともしばしば…である。その悔しさが発奮材料になって大活躍というケースもあるが、栗山監督はどんな選手とも必ずそうした話し合いを持つスタイルでチームをマネジメントしている。

 ちょっとした話し合いや説明で相手の気持ちを和らげたり、誤解を招く状況を回避することができたりする。その気遣いができるかどうか。

 日本ハムは翌日も巨人に勝って「3番・中田翔」で連勝した。