4番降格に納得していた中田

 長い間守ってきた「4番・中田」を変更して「3番・中田」で勝利する。これも栗山監督の采配の妙と言えるだろうが、調子の上がらない4番バッターを代えることは、プロ野球に限らずどこの監督でもすることだ。だからこの一件で栗山監督の采配をほめるつもりはない。指揮官として打つべき手を打ったとも言えるだろう。

 ここで注目したいのは、「4番・中田」を代えるにあたって、栗山監督が本人と2日連続で話し合ったということだ。そこでどんな話があったのか?

 詳細は分からないが、話し合いが有意義だったことは前述の中田のコメントからも伝わってくる。

 「こんなに頼りないバッターに回してくれた。意地でも打ちたい…」

 中田は4番を外れたことをしっかりと受け入れているのだ。決して斜に構えたり、憤慨したりしていない。

 「4番・中田」をめぐってはこんなエピソードがある。栗山監督は就任1年目から一貫して若い中田を4番に起用してきた。当時は実力者の稲葉篤紀もまだプレーしている頃だった。稲葉はサムライ・ジャパン(日本代表)でも4番を務めるほどの選手だ。中田は4番を任されたものの、まだまだコンスタントに力を発揮することができなかった。

 不振に悩む4番。そんな中田をつかまえて稲葉が練習中に声を掛ける。
 「4番代わろうか?」

 すると中田が先輩に向かって言う。
 「稲葉さんじゃ無理ですよ」

 これだけのやり取りだが、ここに4番を打つ者のプライドと資質が見事に表れている。そして稲葉もそれが分かっていて中田をいじっている。後輩思いの稲葉は、中田のプライドを刺激して発奮させようとした。いや、力の入っている中田をこんな会話でリラックスさせようとしたのだ。