野球選手の肘の治療では、腱そのものを移植する「トミージョン手術」が有名だが、リハビリを経ての復帰には通常1年以上かかる。その点「PRP」で上手く患部が癒えた場合には2カ月ほどでグラウンドに戻ってくることができる。

 現状、大谷の復帰プランは、今後3週間はボールを投げずに調整し、再検査の結果を待って今後の方針を決めることになっている。

「野球界全体が痛手」と米メディアが悲嘆

 大谷の離脱は、アメリカでも大きなニュースとして報じられ「大谷の肘の故障はエンゼルスだけでなく野球界全体の痛手(USAトゥデー)」、「18年野球界のベストストーリーを台無しにする悲しい物語となった(米ヤフースポーツ)」など、多くのメディアが深い落胆を持って伝えた。

 悲し過ぎる「大谷ロス」の喪失感を埋めようと、日米のメディアや野球ファンが原因の究明と今後のシナリオを語り始めている。

  • 日本時代の投げ過ぎが原因ではないか?
  • スプリットの多投が肘に大きな負担をかける?
  • 二刀流が投手としての練習不足を生んだのではないか?
  • 縫い目が高く滑りやすいアメリカのボール(やや重い)の弊害か?
  • 時速160キロ以上のボールを投げることが、人間の限界を超えている?

 日本時代の投げ過ぎを指摘するのは、アメリカに定着している日本人投手へのネガティブな評価だ。ただし大谷の場合は、高校1年生は外野手、2年生は成長期の故障でほとんど投げておらず、投手としてはほぼ高校3年生の時しか投げていない。しかも、夏の大会は県予選で敗れ甲子園にも出場していない。北海道日本ハムファイターズ時代も投球数は管理され、中6日のローテーションもしっかり守ってきた。投げ過ぎということはないだろう。

 アメリカでは、「スプリットが肘に良くない」というのが定説になっているが、これも「そうとは言えない」という研究結果が発表されている。エンゼルスのエプラーGM(ゼネラルマネージャー)も記者からのその種の質問に、これを否定している。

 投手として投げない時には、指名打者として試合に出場している。確かに投手としての練習は限られるが、それでも打者としての練習をこなしてゲームに臨んでいる。身体に負担がかかり過ぎるという心配はあっても、練習が足りないということはないだろう。

 日米のボールの違いについては当初から懸念されていた。中指のマメの悪化は、指が高い縫い目にかかり過ぎることから来ているのかもしれない。ただメジャーリーグに渡って1年目。重く滑りやすいボールを投げることで、積年の負荷が肘に来たというにはまだ早い気がする。