前向きに、直向きに、そしていつでも謙虚に

 2000本安打を達成した直後、花束を持ってグラウンドに現れたのは、荒木が入団した当時の監督・星野仙一氏(東北楽天副会長)だった。星野氏は花束を渡すと、荒木に抱き着いて頭をくしゃくしゃとなでまわした。フレンドリーな星野氏ならではの祝い方ではあるが、それができるのも荒木だからだ。まるで少年を相手にするような祝福である。荒木は誰からも可愛がられるキャラなのだ。

 ニックネームは「トラ」。1990年代、タレントとして活躍した荒木定虎さんに似ていることから命名されたらしい。2000本を打つような選手になった今でも、荒木は先輩たちから親しみを持って「トラ」と呼ばれている。

 野球も仕事も人柄で結果が出るほど甘い世界ではない。身長180センチ、体重74キロ。細身の体形ではあるが、強い身体と高い技術で戦ってきた。諦めずにコツコツと継続する心の力もずば抜けている。

 しかし一人では上手くなれない。素直な荒木は、多くの人に可愛がられ、支えられ、成長を見守られながら育ってきた。前向きに、直向きに、そしていつでも謙虚に荒木は野球と向き合ってきた。そういう意味で荒木は2000本安打を「素直な性格で打ってきた人」なのだ。

 中日の森繁和監督が言った。

 「野球界としては、こういうタイプの選手が名球会に入るのはいいこと。チームに必要な存在だし、ケガなく、これからもやってほしい」

 それは荒木を知る人とファンが、みんな思っていることだろう。