「暴力や恐怖」
 「地位や立場の違い」

 日大アメフト部がこうしたものをベースに運営されていたとしたら、それはそのこと自体が惨事であり、所属していた選手たちもある意味では被害者と言えるだろう。

暴力体質が生んだ悲劇

 もちろん監督やコーチも選手から慕われたり尊敬されたりする部分もあっただろう。しかし、出てくる情報を見る限りは、この部の運営が極めて原始的な力学で動かされていたという気がしてならない。自分たちの選手にすら日頃から暴力的なのだから、相手選手への暴力にも鈍感なのは当たり前のことだ。この指導者たちに暴力が嫌悪すべきことだという感覚がなくなっている。それがこの問題の原点であり、真相と言えるのではないだろうか。 

 あの悪質なタックルは、日大アメフト部に恒常的にあった暴力的な体質が生んだ悲劇なのだ。

 このまま筆を置くのは、あまりにも悲しすぎるので、ある米大リーグ選手の直近のコメントを添えておこう。

 ニューヨーク・ヤンキースの抑えのエース、アロルディス・チャプマン投手がロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平選手との対戦(日本時間5月26日)について聞かれた。チャプマンは時速169キロの球を投げたことがある世界最速記録を持つキューバからの亡命選手だ。大谷との初めての対戦では、真っ向勝負。5球すべてストレートを投げて、ショートゴロに打ち取った。そのチャプマンが言った。

「彼のようないい打者と戦うために野球をやっている」

 相手をケガさせたり、ライバルがいなくなったりしたら、自分を輝かす場所がなくなってしまうのだ。

 

 そんなことも分からなくなった前指導者の罪は、あまりにも重い。