野球の打順は、1番から9番まである。野球ファンには言わずと知れた当たり前のことだが、それぞれの打順にはやはり求められる役割がある。

 常識的なことで言えば、1、2番には出塁が求められ、足が速いことも重要な適性だ。3番、4番、5番は「クリーンアップ」と呼ばれ、英語の意味通り塁上のランナーを一掃して得点をあげる活躍が期待される。ランナーがいない時でも一発長打(ホームランなど)の魅力を秘めた選手が指名される。

 6番以降にはチームカラーがよく出る。長打を打てるバッターを並べるか、勝負強いバッターを置いて、クリーンアップの出塁をさらに生かすか…。また8番、9番あたりに足の速い選手を起用して、機動力でかき回す野球をするようなチームもある。

「神ってる」の一言で昨年の流行語大賞をとった鈴木誠也(広島東洋カープ)の目標は、「もう“神ってる”とは言われないこと」。(写真=アフロ)

 いずれにしても打順には意味があって、どの役割の選手も欠くことのできない、その試合の先発メンバーである。選手の持ち味と直近の調子を加味して起用される訳で、打順によって打者の優劣を語っても、選手の能力と本質を知ることにはならないだろう。

 そう言ってしまっては身も蓋もないが、選手たちは起用された打順でその日の最善を尽くそうとするのだ。それゆえに打順は常に流動的なものであり、チームの状態によって可変的なものとして捉えるべきだろう。

 しかし、「4番」だけはそうはいかないという考え方がある。

 「ID野球」を標榜し、データに基づき確率を重視した論理的な野球をする野村克也氏でさえも、「4番が決まれば打順が決まる」と4番打者を特別な存在と位置付け、強いチームを作るためには4番の育成が大きなテーマだと言っている。

 しっかりとした4番打者がいれば、チームは自ずと機能するというのだ。