新天地では力み過ぎが重圧に変わる

 PL学園からロッテに入団して14年間。マリーンズでは押しも押されもせぬ3塁手のレギュラーとして活躍を続けた。楽天には去年、FA(フリーエージェント)で移籍。新天地でも活躍が期待された。

 ところがふくらはぎ痛や腰痛などの故障もあって、1年目は不本意な成績に終わった。出場は89試合、打率こそ2割8分1厘とまずまずの結果を残したが、ホームランは3本、打点も23打点と存在感をアピールすることはできなかった。登録名を「今江敏晃」から「今江年昌」に改名したのも、心機一転を期してのことだった。

 FAであれトレードであれ、また海外からの復帰であれ、移籍してきた選手が過去の実績に見合う活躍を続けることは難しい場合が多い。環境の変化、対戦相手の違い、自身の加齢…など、原因は色々と考えられるが、誰にでも当てはまる理由は精神的なものだ。これは野球選手だけでなく、職場や学校でもあり得ることだろう。

 この時期に多い異動や転勤、また新入社や新入学。新しい環境にどうやって順応するかというテーマだ。それは最大のモチベーションでありながら、一方で本領発揮を難しくさせる一番の要因になるのが、使命感や責任感の類だろう。また過去の自分以上の成績を上げたいという欲も同時に働く。

 つまるところ「何事も力んでしまう」のだ。そして思うような結果が出ないと、それが今度はプレッシャーとなって重苦しさに変わっていく。新天地に抱いた期待はやがてしぼみ、「こんなはずじゃなかった」という重圧となって伸びやかさを奪っていく。

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