「ハロー、私は、なおみ…」

 大坂なおみ選手(20歳、日清食品)の初めての優勝とその喜びを何より表していたのは、プロテニスで慣例になっている優勝後の、このスピーチだったかもしれない。

女子プロテニス大会「BNPバリパオープン」で世界ランキング44位から優勝(3月18日)した大坂なおみ選手(20歳、写真=ZUMA Press/amanaimages)

 アメリカ、カリフォルニア州、インディアンウェルズで行われた「BNPバリパオープン」で優勝(3月18日)した大坂は、スピーチのトスを上手く上げられなかった。

 「???何か忘れていることはないかな???」
 「これじゃー過去最悪のスピーチね」

 スポンサーや大会関係者への感謝、対戦相手のダリア・カサキナ選手(ロシア、世界ランキング11位)への労いの言葉もあったが、話はグダグダで愛嬌たっぷりのスピーチとなった。話の内容や順番はしっかり考えていたそうだが、優勝のアナウンスを聞いてすべて吹き飛んでしまったそうだ。

 「名前を呼ばれたら、うろたえてしまった。恥ずかしい」

 でも、それも仕方のないことだろう。この時点で世界ランキング44位だった大坂は、下部大会も含めて今回が女子ツアーで初めての優勝だった。つまり、優勝後のスピーチもこれが初体験だったということだ。

 それにしても今回の快進撃はすごかった。初戦でマリア・シャラポワ選手(ロシア、同42位)をストレートで破ると、そこから7連勝。セットを落としたのは4回戦のマリア・サカリ(ギリシア、同52位)戦だけ。あとはすべてストレートで勝ち上がり、カサキナも「6-3」「6-2」で下した。

 今回の大坂選手の戦いぶりを見ていて感じたのは、「落ち着いたプレースタイル」に見事に変身していることだった。言い方を変えれば、「大人のテニス」、あるいは「負けないテニス」に変貌を遂げていた。