エンターテイメントに徹した中日・森監督

 中日の森繁和監督が見せたトークの妙は、どんな仕事にも通用するであろう感度の高さ(バランス感覚)と周囲への気配りに満ちていた。それは「チームの現状と楽しみな選手は?」という問いかけに対する話だった。

 巨人の高橋由伸監督が、若手の台頭を評価しながらも、中日から移籍した主砲アレックス・ゲレーロ(17年、本塁打王)の活躍を楽しみにしたいと述べた直後だった。

 森監督も「楽しみな選手ですか? ゲレーロです。本当に期待しています」と言ったのだ。もちろん会場は、爆笑の渦である。

 「キューバから(日本に)連れてきたのは僕。こちらに味方してくれる時もあるでしょう」

 また森監督は、松坂大輔投手の起用について開幕第2カードの巨人戦での先発に言及した。そこで私が「ゲレーロ(移籍)の敵討ちは松坂投手で?」と尋ねると、森監督はそれを見事に引き取ってくれた。

 「敵討ちとは思っていない。(ゲレーロが大事な場面で)ゲッツーを打ってくれると思っている」

 会場の興奮は、最高潮に達した。

 今さらゲレーロの不在を嘆いても仕方がない。そんなことは、森監督も百も承知だ。新外国人選手を迎えて、チームは新しいメンバーで動き始めている。森監督のチーム運営は、100パーセントそこに集中している。それでも「ゲレーロ」という存在を使って、巨人への対抗意識をあおったり、ファンとの一体感を高めたりできることを知っているのだ。だからこそ、ゲレーロの話題で遊んで見せることができる。そこにベテランの指揮官(セ・リーグ最年長監督、63歳)が見せた、「余裕」と「達観」を感じた。

 ラミレス監督率いる横浜DeNAは、去年3位から日本シリーズ進出を果たし、ひと足先にラミレス野球の成果を見せている。去年5位に終わった中日と最下位に沈んだヤクルトが、今シーズンどんな巻き返しを見せるのか。森監督、小川監督の気配りの利いたマネジメントに注目したい。

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