あまり取り上げたくない話だが、見過ごす訳にもいかない。これはスポーツ界だけのことではなく、上司と部下の関係や親子関係にも通じる問題が潜んでいると思うからだ。

 女子レスリングの一件である。

アテネ、北京、ロンドン、リオデジャネイロと五輪レスリング女子で4連覇を達成した伊調馨選手。(写真は2012年のロンドン五輪の決勝戦=青木紘二/アフロスポーツ)

 2004年のアテネから、北京、ロンドン、リオデジャネイロと五輪で4連覇を達成し、国民名誉賞も受賞した伊調馨選手(33歳)が、日本レスリング協会の栄和人強化本部長から繰り返しパワーハラスメントを受けていた…とされる問題だ。これについては、伊調選手の現状を心配したレスリング関係者が、代理人弁護士を通じて、内閣府の公益認定等委員会に告発状を出していたことが、2月末に分かった。

 私はテレビのオリンピック・キャスターとしてアテネ五輪を現地で取材していた。レスリング女子日本代表の栄監督や門下の吉田沙保里選手、伊調千春選手と伊調馨選手の姉妹やアニマル浜口さんの娘さん、浜口京子選手らと知り合ったのはそのころからである。

 この時の女子日本代表はすごかった。

 アテネから正式種目になった女子レスリングだったが、4階級すべてでメダルを獲得し、吉田選手と伊調馨選手が金メダルに輝いた。その後、吉田選手は「金」「金」「金」「銀」と活躍を続け、伊調馨選手も「金」「金」「金」「金」と五輪4連覇を成し遂げた。

 私は、栄監督と選手たちの蜜月を知っているだけに、この一報を聞いた時に、本当に信じられない思いでいっぱいだった。