長く続いた大相撲界の「ウィンブルドン現象」にやっと変化が生まれることになった。19年ぶりに日本出身の横綱が誕生したのだ。

 第72代横綱・稀勢の里。

日本出身力士の横綱誕生はなんと19年ぶり。(©freehandz-123RF)

 「ウィンブルドン現象」は、テニスのウィンブルドン大会から来ている言葉だ。1877年に始まった同大会で、地元の選手が優勝できない。男子は1936年にフレッド・ペリーが優勝して以来、英国選手の優勝がなかったが、2013年にアンディー・マレーが勝って長いブランクが終わった。女子は1977年にバージニア・ウェードが勝って以来、まだ英国選手の優勝はない。

 「ウィンブルドン現象」は、スポーツだけでなく経済用語としても使われている。いやそもそもは経済用語か。市場を解放したことによって、自国、地元の企業が外国勢に活躍の場を奪われてしまう状況を表している。

最近の3横綱はいずれもモンゴル勢

 大相撲も言うまでもなく外国勢に席巻されている。当初はハワイ勢、近年ではモンゴル勢が上位を占め、白鵬、日馬富士、鶴竜の3横綱はいずれもモンゴル出身の力士だ。まさに「ウィンブルドン現象」が続いていた。

 スポーツにおける「ウィンブルドン現象」は現状を嘆く言葉ではない。海外勢が活躍できるのは、門戸が広く開放されているからだ。そのおかげでウィンブルドンには世界中のトップ選手が集まり現在のステイタスが生まれている。

 大相撲もそうだ。外国人力士のパワーとスピードが、そして彼らの国際性が相撲に新たな魅力をもたらしてきた。現在の大相撲人気を支えるには、ウィンブルドン同様に外国人力士の存在がなくてはならなかっただろう。しかし、その長いブランク(本家不在)を打ち破って、ついに登場したのが横綱・稀勢の里である。