厳しい場面になるほどパス精度が増すトム・ブレイディー

 スーパーボウル史上初のオーバータイム(延長戦)に突入したが、最初の攻撃で敵陣まで攻め込んだペイトリオッツが、ホワイトのこの日3つ目のタッチダウン(34対28 )でスーパーボウルチャンピオンを決めた。

 スーパーボウルのMVPには、自身4度目(優勝は5回)となるトム・ブレイディーが輝き、タイ記録で並んでいたジョー・モンタナ(優勝4回、MVP3度)を抜いて単独トップになった。

 スポーツの怖さをまざまざと見せられる教訓に満ちたゲームだと思ったが、やはりこの大逆転の主役、ブレイディーの落ち着きが際立っていた。試合終盤の厳しい場面になればなるほどピンポイントのパスを通し、プレーの精度がどんどん上がってくる。味方にとっては、これほど頼もしい選手はいない。前半の不調が嘘のように、相手を追い詰めるプレーが冴えわたった。

 今シーズンのブレイディーは、開幕前からトラブルに見舞われていた。「デフレートゲート事件」と呼ばれる一件である。去年のAFCチャンピオンシップ(ペイトリオッツ対コルツ)でボールの空気圧が不正に減らされていたことが発覚。
ブレイディーにもその嫌疑がかけられ、NFLは開幕からの4試合出場停止処分を下したが、連邦裁判所がこれを無効と判断したため全試合の出場が叶った。

 またスーパーボウル前には、ブレイディーが大統領に就任したトランプ氏を電話で祝福したというニュース(トランプ大統領自らがコメントした)が流れ、政治的な話題にも巻き込まれた。ブレイディーからすると、こうした鬱憤(うっぷん)をスーパーボウルですっきりさせたいという思いもあったのかもしれない。

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