男子では王国・中国レベルの挑戦者が優勝

 男子の決勝は、挑戦者対王者の構図がより鮮明に見えて、今回のテーマである挑戦者の強みを確信させるものだった。14歳の張本智和選手(エリートアカデミー)が10回目の優勝を目指す王者・水谷隼選手(木下グループ)を4対2で一蹴したのだ。

 水谷の驚きと圧倒された試合内容は、そのコメントによく表れている。

 「今までたくさんの中国選手と試合をしてきたが、彼らと同じレベルにいる」

 張本の両親は、ともに中国のトップ選手だったが、水谷のコメントはもちろんその出自に言及しているわけではない。日本の環境で成長した中学生が卓球王国・中国に負けない実力を発揮し始めたことへの驚きである。

 すべての返球が攻撃的で、リスクを避けるようなボールがほとんどない。台から離れる(時間を稼いで安全に打つ)ことなく、水谷の甘くなった返球を容赦なく厳しいコースに叩き込む。パワーのあるフォアだけでなく、バックの返球も強烈で、水谷は終始受けに回された。

 何を言っているのかと話題になった雄叫びも、ナイスプレーが生まれるたびに誰に遠慮することもなく、体をエビ反らせて絶叫する。

 「チョレイー!!!」 (特に意味はないらしい)

 これすら水谷の神経をすり減らすものだろう。

 女子の平野が劣勢に回ったのと同様に、この時の張本には水谷が何をやっても勝てない気がした。水谷も必死に突破口を探したが、それが見つかる前にゲームは終わっていた。

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