
米国シアトルから届いた映像を見て、2019年の幕開けにピッタリのシーンだと思った。大リーグ、シアトル・マリナーズへの入団が決まった菊池雄星投手(27歳、埼玉西武ライオンズ)の入団会見だ。
会見に臨んだ菊池投手は、冒頭の挨拶から質疑応答まで、ほぼすべて英語で対応したのだ。
目の覚めるような逆転劇でもなければ、圧巻のピッチングを披露した訳でもない。奇抜な格好でパフォーマンスを演じることもなく、メディア受けを狙って最新のトレンドを押さえた訳でもない。ただダークスーツにネクタイを締めてマイクの前で静かに語っただけだ。
それでも、思った。
こうやって時代は変わっていくのだと……。
それは、もしかすると年頭のコラムで取り上げるほどのことではないのかもしれない。下手をすれば、普通にスルーされていくこと。もはやそんな感じのことになってきている。それが嬉しいことだと思ったのだ。
Hi, everyone.
My name is Yusei Kikuchi.
I’m very happy to be here.
Today is a very special day for my family and I.
(皆様こんにちは。
菊池雄星です。
この場にいられることをとても喜ばしく思っています。
今日は家族と私にとって特別な日です)
こうして始まった数分のスピーチ(自己紹介)を彼はこう締めくくった。
And to my new teammates, I can’t wait to meet you guys soon.
Thank you.
(そして新しいチームメイトたちに会えるのが待ちきれません。
ありがとうございました)
「会えるのが待ちきれない」と英語で言えば、その思いはチームメイトたちに届くことだろう。
大リーグへの挑戦については、こんな言葉で表現している。
Thank you for this new journey.
(新たに旅立つ機会をいただけたことに感謝します)
そう、それは単に野球をやりに行くことではなく「journey(旅)」なのだ。
その英語表現に、彼の心構えや野球観、大きく言えば人生観そのものが感じられて気持ち良かった。
「journey」だからこそ、英語が必要なのだ。
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