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SUBARUは17年から謝罪を続けている(17年10月の東京モーターショー)

 この観点から見れば、日本ガイシは6項目をすべて説明できる状況にあった。発覚から4カ月かけて入念に調査を進められたからだ。一方、SUBARUは報道が先行する場面も目立った。17年12月には、国交省に調査報告書を出して「調べた範囲でほかに不正はない」と吉永前社長が説明した翌日、報道により燃費データの書き換えが明らかになった。SUBARUは準備が不十分なまま謝罪に追い込まれた。

 ただ、日本ガイシのように十分に準備するのは容易でない。むしろ、品質問題で1回の会見で終わらせることができるのは例外的だとする指摘もある。三菱マテリアルの品質問題で調査に携わった渋谷卓司弁護士は「品質問題においては、適切な情報開示をタイムリーにしようとした結果として、会見が複数回になることはやむをえない面がある」と指摘する。

 品質問題はまず納品先に謝罪をして、実質的な影響がないことを確認しなければならない。しかし、確認の最中に納品先から情報が外部に漏れるリスクもある。SUBARUのように報道が先行した結果、謝罪会見に追い込まれれば「情報開示に消極的」という印象を持たれてしまう。

 しかも、謝罪会見を開く前に品質に起因する事故が起これば、致命的なダメージを受ける。少なくとも、会見を開くことになった際に、なぜこのタイミングで発表に踏み切ったのか、なぜそれまで開示を控えたのか、自己保身と捉えられないような説明をしなければ、強い批判を浴びる。

 ある大手メーカーの広報トップは「謝罪会見までに8割の情報は揃えたい」と語る。8割とは原因や対応状況を説明したうえで「消費者の安全に影響がないという技術的な立証が揃うこと」だという。残り2割は「経営陣のガバナンス上の問題など発生原因に関すること。ここが説明できなければ、マスコミから会見で厳しい追及を受けるが、甘んじて受け入れるしかない」

 日経ビジネス12月17日号では企業や大学が今年開いた謝罪会見の内容や、その評価についてまとめた「謝罪の流儀」を特集している。今年でこの特集は4年目。多くの謝罪のプロが「経営者が謝罪の作法についての研修を受けることは当たり前になった」と指摘する。

 一方で、品質問題のように謝罪のマニュアルに則るだけでは対応が難しい問題もある。セクハラ・パワハラ問題や災害対応などはその典型だろう。オンライン連載の2回目では、そうした謝罪が難しい案件の1つであるサイバー攻撃事案に焦点を当てる。