一方、法律事務所とは別の立ち位置で、企業の危機管理をサポートするのが、コンサルティング会社や総合PR会社である。業界でも特に有名なのが、米国に本社を置くボックスグローバルや老舗のプラップジャパンだ。

 「ステークホルダー(利害関係者)にどのように説明を行い、信頼を得るかが危機管理の成否を分ける」。こう話すのは、ボックスグローバル・ジャパンの野尻明裕社長。同社では平常時からのコミュニケーション体制の構築、メディア・トレーニングのほか、不祥事や事故が発生した場合の対応まで、社内の専門スタッフがサポートしている。

模擬記者会見の専用スタジオも完備

 野尻氏が近年感じるのは、企業が向き合うリスクの多様化や変化だ。「従来は表に出ないか、関係者の内々で処理されていたものが、SNS(交流サイト)の普及などでそれでは済まなくなってきた」。誰もが情報を発信できるツールの発達や内部通報制度の整備により、水面下で企業が炎上を防げる時代ではない。野尻氏は「情報は表に出ることを前提にして、どれだけ損失を抑えられるかを考えるべき段階にきている」と語る。

 メディア・トレーニングでは、謝罪の記者会見を想定した「模擬記者会見」などを開き、経営者がどのような振る舞いや質疑応答での対応をするべきかを実践的に訓練する。プラップジャパンでは専用のスタジオを持ち、元新聞記者などのメディア経験者が記者役を務め、年間160件程度のトレーニングを実施している。

 プラップジャパンの井口明彦・メディアトレーニング部部長は「根本的に大事なことは、記者会見でお詫びをする際に“海図”を持って臨むこと。日頃からどのような姿勢を持つべきか、どのように報道機関やステークホルダーに接するべきかを、経営トップがしっかりと考えておくことが求められる」と説明する。