常識捨てるのが真の芸人だ
現実社会と同じような息苦しさをどことなく視聴者も感じ取っているのかもしれません。
西野氏:だからなのか、出演者があまり楽しそうじゃないですよね。何かぱっとテレビをつけて、このタレントはあんまり楽しそうじゃないなみたいな、どうしてもこれが伝えたいみたいな感じではないでしょ。これをやったら視聴率が取れるし、生活できるからやっているというのがもうばれちゃっている感じですね。
さっきからテレビのことを語っちゃっていますが、僕はそこまでテレビのことを考えているわけではありません。10年前にはテレビ、ラジオ、あと舞台、劇場ですよね。それらが芸人の「面白い」を表現するスペースだったんですけど、今はもう道ばたでもできますもん。壁に表現することもできる。
インターネットが広がって、地球上がステージになっちゃっているから、僕はここでやっていくんだと決めているわけではなくて、テレビがそのとき超面白かったらテレビの方に行くし、そうじゃなくて、渋谷の真ん中ででっかいイベントをやることの方が面白いと思ったら、そっちに専念します。だから自分の生きる場所を決めてないんですよね。
ネットの浸透でメディア価値の優劣が薄まってきたということでしょうか。
西野氏:そうなりましたね。しかも、面白いことに、何かテレビに出なくてもいいという状態を作った奴から順に、テレビで好きなことができるようになっている。今の僕もそれに近くって、この条件だったら出ますよという風にテレビ局と強気の交渉ができる。
だからテレビの“常識”を捨て、外に飛び出していく芸人はすごくいいと思うんですよ。(お笑いコンビ「ピース」の)綾部(祐二氏)がハリウッドに挑戦するみたいなことを言っていますが、あれとかもどうなるか分からないですけど、そこですごく良い結果さえ出せば、綾部は今まで以上にテレビで好きなことができるようになる。
メディアの環境が変わりつつある中で炎上のようなマイナスの現象が生まれる一方で、こういう良い面も生まれているわけです。自分が面白いと思うことをしたいという目標にまっすぐで、何も迷いがない。そんな自由で破天荒な存在こそが本当の意味での芸人なんだと思います。
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