日経ビジネス12月12日号の特集「謝罪の流儀2016 一夜明ければ社会の敵に」では、SNSやネットメディアだけでなく、テレビ、新聞、雑誌などの既存メディアも絡み合い、炎上のスピードと爆発力が高まっている現状を分析した。炎上の矛先は企業だけに向いているわけではない。前東京都知事の舛添要一氏や前経済再生担当大臣の甘利明氏といった政治家、タレントのベッキーさん、フリーアナウンサーの長谷川豊氏…。個人の謝罪が目立ったのも2016年の大きな特徴だった。
 個人は炎上にどう対応すべきなのか。「炎上芸人」。そんな不名誉な異名を逆手に取り、絵本作家、イベンターとしても活躍するお笑いコンビ「キングコング」の西野亮廣氏に話を聞いた。

(聞き手は林 英樹)

西野亮廣(にしの・あきひろ)氏。1980年、兵庫県生まれ。1999年、梶原雄太氏とお笑いコンビ「キングコング」結成。絵本作家として4冊の絵本を執筆。渋谷のごみ問題の娯楽化を提案するなどイベンターとしても活躍。一方、バラエティ番組の「ひな壇」に出演しないことを宣言するなど、数々の率直な物言いから「炎上芸人」と呼ばれる。(撮影:村田 和聡、以下同じ)

現代社会は「不寛容社会」と言いますか、“常識”とかけ離れた意見を口にしただけですぐに袋叩きに遭ってしまう。今年に入り、炎上の勢いがさらに増しているような印象があります。

西野氏:それは世間だけでなく、芸人もそうですよ、超ムラ社会ですね。

お笑い芸人の世界は自由闊達で、“常識”の枠を外すからこそ面白いものが生まれるのではないでしょうか。

西野氏:いやいやいや。ムラ社会と大声で言っちゃうと、そんなこと言うなよと怒る人も出てくる。すごく堅苦しい世界ですよ。

10月に発売された新作絵本『えんとつ町のプペル』(幻冬舎)は、そんな現代社会の風刺がモチーフになっているように感じました。煙がモクモクと出ている煙突に囲まれた街に住む登場人物は西野さん自身ですよね。

西野氏:こんなことを言うと小っ恥ずかしいんですけど、これまでに4冊絵本を出していますが、手を変え品を変えて結局、自叙伝を書いているんですよ。案の定、毎回叩かれるんですけど、ぼろぼろになるまで。でも、恐らく自分と同じような経験をしている人は少数派かもしれないけど、絶対にいるだろうから、その人に向けての応援歌のつもりです。

 芸人に限らず、そんな経験はどこの世界でもあるんじゃないですか。何か挑戦する人には必ず批判が付いて回る。「えんとつ町」に住んでいて、その上に空があると信じちゃうこととか、空はあるんだよと言っちゃうことは本来自由なはずだし、誰を傷つけているわけでもないんだけれど、でも叩かれてしまうみたいなのがあって。

向かい風ばかりの芸人人生

今回の絵本はクラウドファンディングを活用し、33人のイラストレーターとの共作という形を取りましたが、そんな新しい手法に対する批判も起きました。

西野氏:叩かれました。絵本は1人で作れみたいな(笑)。それも変だなと思ったんです。最初は何で芸人が絵本を作ってんねんというバッシングだったんですけど、今度は絵本は1人で作れという風に、絵本を作ることはもうオーケーになったんだけど、今度は1人でやれという批判です。

 でも僕は批判を全部、追い風に変えています。しめしめと思って常に何かうまいこと利用しようと考えている。向かい風は儲けもん。クレームがあるとかはものすごい儲けもんですね。