隠蔽工作や言い訳は厳禁

今年も多くの企業が炎上にさらされました。企業はどのように炎上に向き合い、また発生した際にどのように対処すべきでしょうか。

山口:まず予防する観点で言えば、ツイッターの広報アカウントなどで炎上する話題を知っておくとか、SNSを利用した広報活動に複数の担当者を配置するといったことが考えられます。きちんとガイドラインを策定して、やらせ行為をしない、誠実で良識ある態度を心がけるといった姿勢を徹底しておくことも必要です。その上で、炎上についての検知のスピードを高めることも求められます。

 炎上が発生した後の対処について、よく申し上げているのは、トラブルの相手に対して「投稿を削除してください」と依頼したりとか、事実関係を完全に把握する前に言い訳をしたりといったことは絶対にしないでくださいということですね。

 これは自社が発信したものを削除しないということも同様です。隠蔽工作や言い訳はまず炎上の火種になるものであり、炎上が拡大する原因になる。重要なのは事実関係をきちんと確認して、謝罪するのであれば問題点を明確にして、今後の対応をはっきりと示す。こうしたことを真摯な態度で行うことが大切ですね。

そうすれば、炎上は鎮火していく方向になると。

山口:いずれにせよ鎮火しない炎上はありませんが、早めに鎮火することは十分にあり得ます。炎上の検知については、例えば「グーグル アラート」(設定したキーワードが含まれたネット上の最新記事などをメールで教えてくれるグーグルのサービス)を活用するといったことや、あとは外部の専門企業に委託することも一つの手段ですね。謝罪についても、本当に謝罪するべき事案なのかどうかを正確に見極めることも大事です。

ネット世論も多様な意見の一つ

企業の担当者も日常的には個人としてネットの世界に触れてはいるのでしょうが、実際に自分たちに降りかかってくると十分に対処できていないケースが目立ちますね。

山口:痛感するのは、日本の企業の意識が少し低いのではないかということです。先日、超大手のIT(情報通信)企業から依頼が来たのですが、自社に炎上に関するマニュアルが一切ないので作ってください、というものでした。IT企業であれば当然重視してしかるべきなのに、そもそもマニュアルがないというのは驚きでしたね。

 先ほど、炎上のネット世論はごくわずかな意見と言いましたが、それも現代の多様な意見の一つなのです。それは冷静に取り入れた上で、問題や議論のポイントはどこにあるのかを明確にする。マスメディアには、それを踏まえて冷静な議論を呼びかける役割も期待されています。報道の仕方の工夫によって、国民の意識も変わっていくと思います。