「急激な温度変化によって体がダメージを受けるのがヒートショックです。ヒートショックには『血圧の変動』が深く関わっています。特に寒い時期の入浴、そして飲酒後の入浴は、血圧の変動が激しくなり非常に危険です」(梅村院長)

 梅村院長によると、そもそも血圧は気温によって変動するのだそうです。気温が高いと血圧は下がり、寒くなると上がります。「気温が低いと、体温を下げないようにと血管を収縮させ、血圧が上がります。一方で気温が上がると、熱を放出して体温を下げようとして血管は拡張するので血圧は下がります。このため、夏は血圧が低くなり、冬場は血圧が上がるのです」(梅村院長)

 そして、冬場に寒い浴室でお風呂に入ると、体が感じる気温・水温は激しく上下動するので、血圧も大きくアップダウンします。

 温かい部屋から寒い脱衣所に行くと血圧が上がり、湯船に浸かると交感神経が緊張して血管が収縮し、さらに血圧が上がります。そのまましばらく浸かっていると体が温まり、血圧が下がってきますが、湯船を出て寒い脱衣所に行くと、また血圧が上がります。

入浴の際は血圧の変化が大きくなるが、冬場は室温が低くなり血圧の変化は一層大きくなる(Appl Human Sci. 1996;15:19-24.)

 急激な血圧の変化は体への負担が大きくなります。特に高齢者で、普段から高血圧の人は、動脈硬化が進んでいて、急激な血圧変動に対応できなくなります。

 「高齢者で高血圧だと、入浴時に心筋梗塞や脳梗塞、あるいは脳出血などで重篤な症状に陥る危険性が高まります。また、高齢者は、体位の変化(臥位、座位、立位など)に対応して血圧を一定に維持する能力が衰えてくるため、湯船などから立ち上がったとき頭に血が十分に回らず倒れる確率も高まります」(梅村院長)

血圧の変化に対応できない高齢者はさらに危険

 消費者庁が発表しているデータを見ても、寒さの厳しい12月から3月までの入浴時の事故死が多いことがわかります。ほとんどが65歳以上の高齢者だそうです。入浴時の事故死はこの10年で1.7倍に増えています。

(出典:消費者庁 平成29年1月25日News Release)

 「長く浴槽に浸かっていると血圧が下がります。その状態で突然立ち上がろうとすると、通常は血管が収縮して血圧を保とうとするのですが、高齢になると血圧が維持できなくなり、頭に血が十分に回らず、気を失って倒れてしまう。倒れた場所がお湯を張った浴槽だと、溺死につながってしまうのです」(梅村院長)