高齢者が海外に仕事を求めるべき理由

 これはこのコラムのテーマでもあるが、高齢者は少しぐらい効率が良くなるという程度の理由では、若者の邪魔をしてはいけないし、その仕事も奪うべきではない。それならば、仕事の場は、より手薄なところに絞るべきだ。そして、現時点では、海外関係の仕事が手薄になっているのは明らかなので、まずは自分の経験が活かせるような国を選び、そこでの仕事を引き受けることを、大いに売り込んではどうだろうか?

 高齢者の場合は、現役世代と異なり、既に子供達は独立しており、かなり身軽になっている。思い立って海外に居を移すことを考えても、比較的障害は少ない。それなら、今すぐにでも「思い立つ」べきだ。

 明治時代の啓蒙家、徳富蘇峰は、「すべてのことを広く浅く知り、一定のことについては誰よりも深く知る」ことを、ジャーナリストや教育者に求めたが、これは現在の一般の会社員に対しても言えることだ。

 高齢者は長い間仕事をしてきたので、知識や経験の範囲は十分広いだろうから、第一の条件である広い知識はクリアできる可能性が高い。しかし、第二の“誰よりも深く知る”という条件は、自分の持ち場で本気で働いてきた人でなければ、なかなかクリアはできない。従って、あなたがもし後もできるだけ長く仕事がしたいのなら、現役時代からこのことを十分意識し、「この辺のことを俺以上に分かっている奴は、まずいないだろうなあ」とうそぶけるようにしておくべきだ。

 それから、もしあなたが上層部の覚えめでたく、思いがけぬ昇進を重ねていったとしても、決してそれに悪乗りしてはいけない。部下の報告を聞いて難癖をつけたり、さらなる調査を命じたり、そのことに関する社内の政治バランスを考えるだけの仕事に慣れてしまうと、自分で新しいものを探したり、新しい発見に興奮したりすることがなくなってしまうからだ。そうなると、あなたのビジネスキャリアはそこで終わってしまう。

 日本人の多くは「仕事は誰かが与えてくれるものだ」と思っているようだから、その辺の意識は極めて希薄だが、外国人は生涯を通じて「毎日が就活」と思っている。「自分のレジメをどれだけ魅力的にするか」を何時も考えている。その源泉は「自分の力で新しい仕事を創り出す」ことだ。今の多くの日本人のレジメでは、とても海外では通用しない。