総務部や人事部をはじめとした間接部門。なくてはならない存在だが、コストアップ要因と見なされることも多い。そんななかITを駆使することで1人で総務部門をこなす会社があった。
間接部門が仕事の“邪魔”をする──。そんな不満を持つ直接部門の社員が増えている。実情に合わないルールを導入する一方、形骸化した古い仕組みは固守しようとする。
「存在意義を守るため、無理に仕事を作っている」。これが多くの直接部門社員の見立てだ。
過去を振り返って見ても、間接部門は企業の要であるにもかかわらず「コストアップ要因」と見なされることが多かった。では間接部門をどこまでスリム化することが可能なのか。基幹システムを販売するスマイルワークス(東京・千代田)の坂本恒之社長は「クラウドを駆使すれば大企業でも1人で十分こなせる。できない理由があるとすれば、仕組みの問題ではなく、部門の既得権益だろう」とみる。
この考えを実践している企業がある。スキャンマン(杉本勝男社長)という会社だ。アルバイトを含め50人のメンバーがいる企業で、この会社の総務部門は久保田ゆみえ氏しかいない。電話の取次から案件管理まで何でもこなす。
こんな芸当が可能なのは10のクラウドサービスを使いこなしているからだ。中小企業の総務の仕事は多岐にわたるが、久保田氏の場合、大別すると次の8つの作業が中心で、それぞれクラウドを使いこなし、たった1人で業務を遂行する。以下、具体的に見ていこう。

①社外文書作成(請求書、見積書、納品書など)
⇒Misoca「Misoca」使用(直接部門がデータ入力すれば、書面作成から郵送まで代行)
②経費精算
⇒グーグル「Googleスプレッドシート」使用(直接部門が基本データを入力すれば、自動計算・処理)
③社員教育
⇒スタディスト「Teachme Biz」使用(業務用マニュアルの編集代行)
④電話応対
⇒NTTコミュニケーションズ「050plus」使用(スマートフォンを設定すれば、どこにいても代表電話が取れる)
⑤契約書のリーガルチェック
⇒弁護士ドットコム「クラウドサイン」使用(契約の締結や管理を代行)
⑥労務管理・勤怠管理
⇒LINE「LINE」使用(アルバイトの勤務希望や出勤管理はLINEで集約)
⑦出入金管理
⇒ネットプロテクションズ「NP後払い」使用(債権管理代行)
⑧業務報告書、日報管理
⇒グーグル「Googleドキュメント」使用(直接部門が書き込み経営陣が直接閲覧)
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