明大前駅、下北沢駅、渋谷駅を通過する

どんな方策がありますか。

阿部:輸送力増強を安く早くできる方策を5つ提案しており、その内の1つが「選択停車ダイヤ」です。

 高速道路の料金所で、10年くらい前まではゴールデンウィークや年末年始のたびに、大変な渋滞が起きていたのが、自動料金収受システム(ETC)の普及により大幅に減りました。

 交通量が減ったわけでも、車線数が増えたわけでもありません。多くの車両が完全停止せずに通過することで、1レーン当たりの処理能力が上がったのです。

 鉄道も同様で、路線全体の中のボトルネックとなる駅で、一部の列車を通過させると、今と同じ車両と信号のまま運行本数を増やせます。

ボトルネックとなる駅とは、具体的にはどこですか。

阿部:京王線の明大前、小田急線の下北沢、田園都市・半蔵門線の渋谷といった駅です。そういった駅を例えば3本に1本通過させると、20~30%増発できます。

 同時に、停車駅が減り、追い越しがなくなり、現行の各停より所要時間が大幅に短くなります。現行の優等列車は、ラッシュ時には先行する各停につかえてノロノロ運転となっています。私が提案する「選択停車ダイヤ」では全列車の所要時間が現行の優等列車と同じくらいになります。

 所要時間を短くできる分、車両と運転士・車掌の回転効率が上がり、同じ編成数と乗務員数で、より多くの列車を運行できます。

ダイヤが複雑になり、乗る列車を間違え、降りたい駅を乗り過ごす乗客が増えませんか。

阿部:首都圏の多くの路線のダイヤは、今でも複雑です。10種類近い種別の列車がある路線もあり、同じ名称で時間帯によって停車駅が異なる路線すらあります。

 私が推奨するのは、ラッシュ時は快速A・B・Cとし、それぞれ3駅おきに通過させ、各駅から見ると3本おきに通過する方式です。一見複雑ですが、どこの駅からどこの駅へも3本に1本は乗り換えなしで行け、いったん分かればスッキリします。

 ただし、乗降の多い駅同士が3の倍数離れていると、それらを通過する3本中の1本の利用が極端に少なくなるので、停車パターンを変える、編成両数に差を付ける等の工夫を要します。

ターミナル駅に住んでいる人は、自分の駅に止まる列車が減り、資産価値にも影響が出ませんか。

阿部:路線全体のパフォーマンス向上のためにダイヤを大幅に見直すことは、よくあることです。

 例えば、京浜急行の品川から京急蒲田では、昼間の特急と急行がなくなり、優等列車は快特のみとなりました。青物横丁と平和島の利用者が割りを食いました。

 それと比べると、今まで全列車が停まっていたのが一部通過するようになっても、混雑が緩和され、所要時間も短くなり、今よりも大きな改善です。

 とはいえ、従事員も利用者も不慣れな中、朝の上りでいきなり実行するのは無理があります。夕方~夜の上下、朝の下りの順に実行し、慣れが広まった後に朝の上りでも実行するのがよいでしょう。

 線路容量(単位時間当たり運行可能な列車本数)ギリギリの本数を運行する必要のない昼は、「選択停車ダイヤ」とする必要はなく、現行通りとします。