東日本旅客鉄道の中でも屈指の混雑率となっている埼京線。埼玉県から、池袋や新宿、渋谷、恵比寿、大崎といったターミナル駅を結んでいる。朝のピーク時(7時50分~8時50分)の混雑率は183%(2015年度)だ。
記者の体験リポートやアンケートを通じて、通勤ラッシュの今を検証する連載企画「「痛勤緩和」のウソ」。11月30日の朝8時10分、記者は埼京線の上り列車に乗るため、JR赤羽駅の改札を抜けホームに向かった。
到着した電車に乗れず、乗る車両を変更

11月30日、8時10分。JR赤羽駅の改札近くの電光掲示板には、「5分遅れ」の文字があった。「5分遅れといっても大したことはないだろう」と思いながら、埼京線上り方面列車が到着するホームに上がる。
最初に向かったのは、とにかく混んでいるといわれる1号車への乗車位置。1号車は、新宿駅や渋谷駅での乗り換えなどに便利なのだ。
一番後ろのドアの列。記者の前には既に12人が並んでいて、次の列車は無理だろうなと感じる。「前に1歩お詰めください」との駅係員の指示に従い、間隔をできるだけ詰めて並んだ。
8時12分発の列車が8時17分に入線。ドアが開くと同時に、車両から人が押し出されるように出てくる。その数10人くらい。車内を見ると、混雑率は250%(電車がゆれるたびに体が斜めになって身動きができず、手も動かせない)以上という印象だ。
結局並んでいた人のうち、この列車に乗れたのは前から5人ほど。乗ろうとして乗れなかった人がそのまま電車近くのホームの端にとどまっている。駅員が別の場所にいて、列全体に後ろに下がる指示をしないので、危険な状態に見えた。
ほどなくして列車のドアは閉まったが、なかなか発車しない。どうやら荷物が挟まっていて、その安全確認に時間を要したようだ。発車したのは8時21分ぐらいだった。
8時25分、次の列車が入線してきた。自分の後ろにどのくらいの人が並んでいるのだろうか。振り返ってみると、前の列車の発車が遅れてさばききれなかったためか、列が一挙に長くなっている。
列車を見ると、曇った窓から車内の混雑がうかがえた。この列車も、すし詰め状態。もしこのまましばらく乗れなかったら、取材に遅刻してしまう危険がある。そこで、急きょ方針転換することに。ホームを歩き次の次の電車で、比較的乗りやすいと考えられる女性専用車両に乗ることにした。
女性専用車両のある10号車を待つ列も長い。だが、1号車の列とは少々違う。前に詰めるように指示する駅員がいないからか、「スカスカ」なのだ。記者はホームの反対側の端に立つ状態。これでは後から来た人は並ぶことができない。皆スマートフォンを見ていて、気が付かない。
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