公表の混雑率が低いのは業界の暗黙の了解

 鉄道関係者は明かす。「公表の混雑率が低いのは、業界の暗黙の了解だ。実際の80~90%くらいではないか。いきなり正しい数値を公表して、先輩から引き継いできたデータを覆すことはできない」。

 自動車の燃費データの不正とは違い、混雑率を低く見積もっても法令違反ではない。だが鉄道各社にとって、混雑率の上昇は、利用者に対してサービスの悪化を印象付ける。できるだけ低く見積もりたいという意識が働いても不思議ではない。

 また、測定は各社に委ねられているため、担当者の感覚、さらには企業姿勢によって、データに大きなばらつきが出ても不思議はない。それゆえ、そうしたデータを横並びで比較する混雑率ランキングなどは、実態に即しているとは必ずしも言い切れないわけだ。

利用者が知りたいのは「ピーク1時間の混雑率」?

 仮に目視で完璧に測れたとしても、利用者が知りたいのはピーク1時間の平均混雑率なのだろうか。先のデータで示したように、利用者は特定の時間に特定の車両に乗る。当然、ピーク1時間の平均データより混雑しているケースがある。

 また最近は時差通勤の拡大で、ピークの1時間以外も混むようになっている。東日本旅客鉄道(JR東日本)の森本雄司・常務取締役も「ピーク前後の利用者が増えている」と話す。

 さらに金曜の夜や忘年会の夜などの混雑も激しい。利用者が急増しているにもかかわらず、運行本数が少ないため、需要と供給のバランスが崩れて一気に混雑する。しかし、そのデータも公表されていない。

 詳細な混雑の状況が分かってこそ、より有効な対策が打てる。小池百合子都知事が「満員電車ゼロ」を本気で目指すなら、その前提として満員電車の情報を詳らかに公開すべきだ。

最大の不満は臭い

 さらにアンケートでは、満員電車についての不満や要望を聞いてみた。

「満員電車の混雑」に関する不満
出所:不満買取センター
調査概要:2016年11月15~21日実施。インターネットで1000人の有効回答を得た

 まず、不満ランキングの圧倒的な1位は、「臭いの強い乗客」で全体の22%を占めた。「柔軟剤の強い臭いや体臭で気持ちが悪くなる」(JR東海、中央本線、49歳、男性)という声がその一例。

 次に多かったのが、「無理な乗車」で15.4%。「息もできないくらい、混みすぎ。どう考えても乗れないのにぐいぐい押して乗ってくる」(京王、京王線、47歳、女性)といったコメントが多く寄せられた。

 3位が「列車遅延が多い」で15.3%だった。「混雑で扉に荷物が挟まったりして確認のために何度も開け閉めして、どんどん遅れる」(東急、東横線、32歳、男性)といった不満だ。