外国人が驚く改札前の行列

 横須賀線で品川駅に着くと、ドアから外に飛び出す。自らの意思で出るというより、圧力でポンと弾き出されるようだ。

 ホッと一息をつきたいところだが、降車後も行列が待ち構える。改札を出るために20メートルほど並ぶ。品川のホテルに泊まっていたのだろうか、改札を入ってきた外国人女性が行列を見て、おどけたように両手を挙げて驚いていた。

 改札の外でも通勤ラッシュは続いている。

 品川駅の改札からオフィス街である港南口に向かうコンコースの風景は圧巻だ。通路いっぱいに人があふれ、もくもくと歩いていく。コンコースの上から眺めると、豪雨の後の濁流を思い起こさせる。

 この景色は外国人の間でも有名らしい。インターネットで検索すると、いくつかの動画がアップされている。この流れを横切ろうとする人がいるが、上から見ると流れに押しつぶされそうな印象を受ける。

品川駅のコンコース。品川駅の改札から港南口のオフィスに向かうビジネスパーソンが多いと見られる。通路いっぱいに人があふれ、もくもくと歩いている

 通勤ラッシュは何もJRが特別な訳ではない。記者の肌感覚からすれば、私鉄各社の「痛勤」も解消されていない。

 11月15日、東急の田園都市線に乗ってみた。8時過ぎに二子玉川駅から渋谷方面行の電車に乗る。スマホは使えるが、週刊誌は読めない。

 東京急行電鉄は田園都市線のピークの1時間の平均混雑率(2015年度)を184%と発表している。当日の体感でいうと、200%は超えている。車内の熱で車両の窓が曇り、外が見えない。少し遅れて8時20分に三軒茶屋駅に着く。ほとんどの乗客が降りないため、さらに混む。スマホを見るのも難しくなってきた。混雑率は250%くらいに感じる。

 密着する男性の若者が、ポケットから無理やりスマホを取り出そうとして、軽い肘鉄を食らう。この状況で、文句も言いづらい。混雑というより、運動不足のせいかもしれないが、肘を曲げて鞄を持ち続けていたら、上腕二頭筋がつった。

 普段でも激しい通勤ラッシュがあるうえに、遅延などがあればさらに混むこともある。雨が降れば、お互いの傘が満員電車でお互いを濡らすだろう。

 ビジネスパーソンの働き方改革や生産性の向上が言われて久しい。だがオフィス内の対策だけでは、不十分ではないだろうか。激しい通勤ラッシュは、心身共に負担が大きい。これが生産性向上の阻害要因となっていないだろうか。

 30~40年前に比べれば通勤ラッシュは緩和されたのかもしれないが、多少マシになったということに過ぎない。武蔵小杉駅のように、タワーマンションの林立で人口が急増していたり、人気の路線ではむしろ混雑が悪化している可能性がある。働き方改革や生産性向上というテーマからも、満員電車による“痛勤”が未だに大きな課題であることは間違いない。