肥料は銘柄集約で10~30%のコストダウンに

 購入改革には3つのポイントがあります。生産者は最も安い価格で購入したいと願っています。まず使う量を教えてもらって、入札をかけて最も安い工場から買おうとしています。

 以前はコスト積み上げ式でしたが、今後は市況主義にしていきたい。最安価格を求めているので、コストは知りませんというスタンスで、これは大転換です。化成肥料から始めていろんな品目に広げていき、生産者の物財費を下げていくのが狙いです。

どこまで交渉が進んでいますか。

神出:年内に西日本の入札も終わるので、どれくらいのコストダウンになったかの全体像を年明けには話せると思います。

 2つ目は、400種類もあった肥料の銘柄を17にしぼります。そうすると以前は1銘柄当たり200~300トンだったのが、今後は5000~6000トンの購入量になって、メーカーの固定費が大幅に下がるはずです。銘柄によりますが、10~30%のコストダウンになりそうです。

 3つ目は農業機械について。なんでもかんでも農家に所有してもらうのではなく、季節性があるコンバインや田植え機などは、複数の農家でシェアリースすることを促しています。共同で使って利用料だけもらいます。所有する農機と使用する農機を分けていこうとしています。

 

 新しいトラクターについては、意見を聞きながら最低限必要な機能をしぼってもらっています。1万人超の組合員に対してアンケート調査をしたほか、20~30代の若手を中心とした生産者と共に「資材事業研究会」を作り、機能の選定を進めています。

 例えば、自動水平制御やキャビンはいるけど、その他の機能はオプションにする方法があります。今は400~500種類のトラクターの型式があるが、これを1、2に絞り込もうとしています。

 9月にメーカーに仕様を示して、来年3月から申し込みを受け付け、6月に最終製品を選定。夏に価格を提示して、秋に提供する予定です。

 私は日本農業法人協会の理事をしています。法人はともすればアンチ農協だったかもしれませんが、元をただせば同じ農業者です。現場を良く知るエース級の人材を資材事業研究会に出してもらって、徹底した議論をしています。

 資材事業研究会のメンバーなどは全農を利用していると思っているはずです。全農をこき使ってやろうと思われるのが私の狙いです。全農の職員が目の色を変えて働ていますよ。

 これまでは農協の幹部級に農機の仕様を聞いていましたが、今回は徹底的に若手の担い手の意見を反映しようとしています。

従来に比べて最低でも15%安いトラクターに

 こうしてまとめた仕様を基に、メーカー4社には製造要求をぶつけています。従来はメーカーが作った機種の提案を受けて、条件を整備するくらいでした。今回はこちらからゼロベースで提案して作ってもらっています。新しいトラクターは3年間で1000台くらい購入しようと思っています。

 クボタさんは我々の動きに先んじて、従来より15%安い機種を開発しています。15%減が最低ラインで、もっと下げていきたいと思っています。

 現場を知り、農業で生計を立てていこうとする若手の大規模農家は本気ですから、本当のことをはっきり言います。

若手生産者のモチベーションアップにもつながりそうですね。

神出:そうですね。うちの職員も間接ではなく、若手生産者から直接話を聞いているので刺激になっています。

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