11月27日号特集「農業で解決 日本の課題」では、農業が日本の様々な課題を解決する可能性を指摘した。実際、企業をリストラされた人や介護離職を余儀なくされた人、働き場所を失ったシングルマザーなどが新規就農によって笑顔を取り戻している。

 政府は企業参入条件の緩和などの農業改革で新規就農者を増やし、農業就農人口の減少を食い止めようとしている。また、生産者のビジネス拡大を後押しするために、全国農業協同組合連合会(JA全農)に改革を求めてきた。

 2016年11月に自民党農林部会長だった小泉進次郎氏が中心となり、農協グループの組織刷新を柱とする農業改革をまとめた。こうした動きを受けて全農は2017年3月に数値目標を含む自己改革のプランを発表した。

 改革の内容を巡って小泉氏と直接交渉していたのが全農専務だった神出元一氏だ。今年7月に理事長に就任した神出氏に改めて改革の狙いを聞いた。

神出元一(じんで・げんいち)
1951年12月生まれ。1975年、熊本大学法学部法学科卒業後、全国農業協同組合連合会(JA全農)に入会。2005年に常務理事、11年に代表理事専務を経て、17年7月から代表理事理事長に就任

政府・与党が農業改革を進め、農業競争力強化支援法案など様々な農業関連法案を成立させました。その過程で自民党農林部会長だった小泉進次郎氏は全国農業協同組合連合会(JA全農)に改革を迫りました。こうした流れをどのように受け止めてきましたか。

神出:農業改革の意味するところは、今の農業の現状と課題を見てみて、これ以上自給率を落とさない、社会のニーズに対応した形にするということだと思います。

 そのために国は規制を変え、新しい法律を作る。農業法人や関連産業も動く。農業団体である我々も含めてお互いの認識を合わせ、ベクトルを1つにすることが必要だと考え、協議に応じてきました。

 農業の生産基盤が崩れ、消費の変化が大きいなかで、今まで通りの仕事のやり方を今後も続ける訳にはいきません。これを1つの機会として、仕事のやり方、意識を点検してスタートをきろうじゃないかと整理したのが、4月から動いている自己改革プランです。

 来春には1つのフェーズの結果が出ますが、今のところ計画通りに進捗しています。それはJAグループの協力と理解があってこそ。この改革は自己満足ではなく、生産者まできっちり浸透することが大事です。

「誰かに売ってもらう」から「自ら売る」に

これまでの全農の課題をどのように認識して、どの部分を変えていきますか。

神出:販売事業について今までは市場や卸売り市場に出して、「誰かに売ってもらう」姿勢でしたが、今後は最終商品として実需者に「自ら売る」姿勢に転換します。

 これまでの販売担当者からするとややムッとするかもしれませんが、本当はこうすべきではないでしょうか。これからはカットがほしいとか、サラダがほしいとか、食品ごとのニーズに突き刺さるようにしなければなりません。