いい意味でお金の匂いがしない

経営者としての糸井さんをどう見ていますか。

佐藤:いい意味でお金の匂いがしませんね(笑)。いつも楽しそうに仕事をしているのを見ていて、どうやってビジネスを成り立たせているのだろうというのが、長いこと謎でした(笑)。

 手帳の仕事に関わっていると、どんどん人気が出てきて、売り上げが増えて、おそらくそれなりの利益を上げている。そう気づいてはいたけれど、やっぱりお金の匂いがしなくて(笑)。

 それよりも、「もっと良くできないだろうか」ということばかり一生懸命に続けている。糸井さんは、絶対に安心して立ち止まらないんです。それがまたお客さんに受け入れられて、広がっていく。そういう循環をつくっているのが糸井さんであり、ほぼ日だと感じています。

 だから、糸井さんと川島さんがほぼ日の経営をテーマにした本を出すと聞いた時には、少しびっくりしました。ほぼ日が持っているイメージとはある意味で正反対のところにあるテーマだったので。

 ただ本を読ませていただいて、糸井さんは経営について、いい意味でしたたかに考えている、と感銘を受けました。

 糸井さんは、あれだけの社員がご飯を食べていける状態について、その責任の重さを自身に問いながら経営している。それにも関わらず、そういった「重さ」のようなものを一切、表に出さずにやっている。そこがすごいですよね。

本の中で印象に残ったのはどういった点でしたか。

佐藤:ほぼ日の経営の特徴は、「おもしろいことをしたい」という気持ちを第一にしていて、それが多くの人たちに受け入れられている、ということです。しかも規模が大きくなっても、株式を上場しても、それを続けている。なかなかできることではありません。

 普通の会社だと、新製品の開発について、予算や利益、期限がきっちり決まっていて、それを守らなければいけないということが先立ってしまいます。それが行きすぎると、会社の不祥事につながってしまう気がするのです。

 つまり、「自分は何のために働いているのか」ということがよく分からなくなっていくのではないでしょうか。

 ほぼ日はその逆にあると言ってもいい。なぜなら「おもしろいことをしたい」という気持ちが第一にあるからです。世の中の人たちも「おもしろいこと」に興味があるから、ほぼ日に自然と集まってくるのだと思います。

次ページ 働き方改革がおもしろい気持ちを削ぐ?