全3391文字

上場がゴールになってはいけない

ほぼ日が上場したことについては、どう見ていますか。

田中:糸井さんが組織のことを考える中で、株式上場という決断をしたのは、いろいろ考えた末のことで、意味あることだと思っています。

 ただ、一般的に株式上場そのものは、いろいろな運と縁、ある程度の商売センスがあればできることです。大切なのは、その後も継続的に成長させていくことです。それが、ものすごく難しい。

 新興企業で、上場後も成長できているところは、ほんの数%ではないでしょうか。つまり、上場が引退興行になっている企業も実に多いということです。

 どうしても経営していると、株式上場が一つのゴールになってしまうんです。実際、私もそうでした。

 ジンズを上場させて少しいい気になって、赤字に陥った。

 その時に初めて、自分が何のために仕事をしているのか、当社は何のために存在しているのかについて、本気で考えました。

 ただ、ほぼ日の上場は、それとはまったく違うところを目指していると見ています。だから、上場するという決断は、とてもいいなと思っていて、私は大賛成です。

これからのほぼ日をどう見ていますか。

田中:恐らく糸井さんご本人が一番よく分かっているのでしょうが、今のほぼ日は糸井さんそのものが商品の一つになっている気がします。

 そこのところをどうしていくのか。

糸井さんは次期社長について、立候補制で募ってみるのもおもしろそうだと言っています。

田中:糸井さんは多面的に物事をとらえる才能を備えています。ですから仮に糸井さんが社長を退いたとしても、おそらくスムーズに次の体制に移行することができるのではないかと思っています。

 ほぼ日は、糸井さんがつくった思想を引き継ぎながら、社会に対してほぼ日らしい姿勢で関わっていく。そんな会社であり続けてほしいと思っています。