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「好きなこと以外はやっちゃダメ」

経営者としての糸井さんをどう見ていますか。

田中:経営者としてというより、人としての生き方が素敵だなと感じています。

 自分もまねをしたいと思ったのは、「好きなこと以外はやっちゃダメ」という部分です。私も、本気で好きなことをやらなければ結果は出せないと思っているんです。

 不得意なことを克服しようと頑張れば、少しはできるようになるでしょう。ただそれを乗り越えるためにノウハウばかりを学んでいても、本当の意味では身につかないと思うのです。

 人間は感情の生き物です。「やるべきか」よりも、「好き」「嫌い」で動くものでしょう。少なくとも、私はそう捉えています。

 つまり、利より感情で動くのが人間なのです。だから、自分が好きだと感じたことはお客さまに伝わっていく。そこには魂が入っているからです。そして逆に言えば、魂が入っていないもの、言霊が入っていないものは、どんなに良くても伝わっていきません。

 ほぼ日のモノやサービスは、どれ一つとっても、「買ってください」とはひと言も言っていません。ただただ、商品の裏側にあるストーリーを語っているだけです。それなのにファンが付いて、きちんと売れていっているのは、すごいことだと思います。

糸井さんはその点について、徹底して乗組員(社員)に伝えていますよね。

田中:だからこそほぼ日は、大きな会社にしてはダメだと思います。人を増やしすぎると、伝わらなくなってきますから。

 今のほぼ日は、糸井さんが伝えることを、とても丁寧にやっている。だから商いとして健全だし、やっていて楽しいんだろうなと思います。

 私もジンズは、少し大きくしちゃったかもと反省しているんです(笑)。そうなるとどうしても伝えにくくなってしまうんです。