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 糸井重里さんが主宰するウェブサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」は2018年に20周年を迎えた。コンテンツや商品の幅が広げ、さまざまなイベントも開催している。またほぼ日は、2017年3月には東京証券取引所のジャスダック市場に上場した。

 ほぼ日を率いる糸井さんは、事業、人、組織、上場、社長業について何を考え、どのように向き合ってきたのか。糸井さんに語ってもらった内容を一冊にまとめたのが書籍『すいません、ほぼ日の経営。』だ。

 本書の中にある糸井さんの言葉の数々には本質的な考えが数多く散らばり、働き方や会社のありようだけにはとどまらない示唆に満ちていた。本連載では糸井さんやほぼ日を知る人に、『すいません、ほぼ日の経営。』をどう読んだのか、そして企業としてのほぼ日や経営者としての糸井さんをどう見ているのかを聞いた。

 連載第5回に登場するのはピースオブケイクの加藤貞顕社長。糸井さんはほぼ日で、新しい企業のあり方を模索し、若い経営者にも影響を与えている。ピースオブケイクの加藤貞顕社長も糸井さんに影響を受けた経営者の一人だ。加藤社長に糸井氏との出会いやほぼ日の経営について話を聞いた(今回はその前編)。

 ツイッターなどのSNSで「#すいません経営」を付けて、本書の感想や印象に残ったフレーズをつぶやいていただければ、余すことなく著者の川島さんと糸井さんにお届けします。詳しくは特設サイト「すいません、ほぼ日の経営。を読む」をご覧ください。

ピースオブケイクの加藤貞顕社長(撮影/鈴木愛子)

糸井さんとの出会いについて教えてください。

加藤貞顕(以下、加藤):僕の会社では「cakes」というメディアサービスと、(クリエイター向けブログサービスの)「note」というプラットフォームを手掛けています。

 「cakes」は2012年にリリースしたサイトなのですが、1周年の時に、糸井さんに取材をさせていただきたいなと思って連絡したのが最初のきっかけです。

 僕はゲームが好きで新しいものもいろいろやっているんですが、25年前に糸井さんが手掛けた『MOTHER2』は、今でも一番好きな作品です。つまりクリエイターとしての糸井さんのファンだったわけです。だから、そうとうな勇気を出して糸井さんに手紙を出しました。

どのようなインタビューをしたいとお願いしたいんですか。

加藤:実は、その手紙が「cakes」に載っているんです(詳細は「1周年記念のインタビューを依頼してみたら!」)。「昔から糸井さんの作品にふれていて、こんなことを考えていた人間がこういうサイトをつくってやってきました。取材でいろいろ教えていただけませんか」といった内容を手紙に書いたんです。

 パソコンで下書きをして、便箋に書き写して、その手紙をポストに投函したんです。すると翌日すぐにメールが届きました。

 実はこのインタビューの書き手は(ベストセラー『嫌われる勇気』などの著者でもある)古賀史健さんなんです。

 古賀さんはもともと友人だったのだけれど、彼も糸井さんの大ファンで、いつか糸井さんに会いたいねと、2人でずっと話していました。

憧れの糸井さんに実際に会ってみて、どのように感じましたか。

加藤:一言で言うと、やっぱりすごいひとだなあと思いました。すごくフラットだし、あと、本当に普通の言い方になっちゃうんですが、とにかく頭がいいなあと思いました。人間や社会への視線や洞察がものすごく、驚くほど深いと思いました。

 おもしろいのが、それと同時に、すごく優しいんですよ。その取材ではかなり親身になってぼくの人生相談のようなインタビューにつきあってくださいました。

 僕はもともと本の編集者で、モノ作りをする側の人間です。しかも会社経営を始めたばかりだった。だからインタビューの内容は、クリエイターであり、かつ経営者としての大先輩の糸井さんに、悩みを相談するような内容になっています。

 古賀さんも僕も糸井さんの大ファンだったから、取材の際は二人ともそうとう緊張していました。準備もたくさんして。「(「ほぼ日」から)糸井さんがいなくなったらどうするんですか」という質問をするかどうかについても、古賀さんとかなり相談をしました。

 その糸井さんのインタビュー記事は「cakes」の中でも相当面白い記事だと思うので、ぜひみなさんにも読んでほしいです(詳細は「糸井さん、ぜんぶ聞いてもいいですか?」)。