給与や賞与の額が増えても、それを上回るペースで税金や社会保険料の額が引き上げられていたら、可処分所得は当然、減る。加えて、2019年には「消費税10%」、2020年には「会社員給与所得控除の改正」と、会社員いじめの“増税ラッシュ”が続く。そんな“取られっぱなし”の状態を放っておいていいのだろうか。

 この連載では、会社員が所得税や相続税といった「税負担」を減らすための“ツボ”と、策を講じて失敗しやすい“ドツボ”を、具体的な事例を交えて分かりやすく紹介する。

 今回は医療費控除に関する“大いなる誤解”について解説する。

(【監修】税理士法人ティータックスパートナーズ/
青山人事コンサルティング株式会社 佐藤 純)

確定申告は税金を取り戻すチャンス

 確定申告というと自営業者やフリーランスのための制度と考えがちだが、会社員も申告して税金を取り戻すことが可能だ。

 ローンを組んで自宅を購入したり、リフォームしたりした時の「住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除・特定増改築等住宅借入金等特別控除など)」、株式投資で大損した時に損失分を翌年から3年間にわたって繰り越すことができる「上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除」、地震や台風・集中豪雨などで被災した時に適用される「雑損控除」など、申告を前提とした控除(住宅ローン控除は初年度のみ申告が必要)は多数あるが、とりわけ身近な存在が「医療費控除」だろう。

 2017年分の確定申告では還付申告を行った会社員は1283万人に上り、そのうちの58%に当たる749万人が医療費控除の適用を受けている。

 申告経験のある方も多いと思うが、医療費控除について簡単に説明しておこう。医療費控除は1年間に医療費を一定以上払った人に適用される控除だ。

 具体的には、1年間にかかった医療費の合計額から、高額療養費の還付金や生命保険の入院給付金、出産一時金などの補填金を差し引いた金額が、(1)10万円を超えた場合、または(2)総所得が200万円未満の人は「総所得×5%」を超えた場合に、オーバーした分が医療費控除の対象となる(控除限度額は200万円)。

 申告すれば、その控除対象額に所得税率を掛けた金額が還付金として申告時に指定した口座に振り込まれる。

 計算式は次のページの図の通り。