少額決済を使えば、誰もが簡単にビジネスを始められる

ビットコインを使った決済で、どのようにビジネスの仕方が変わるのでしょうか。

野口:従来の送金システムでは、コストが高すぎて実現不可能なビジネスがあったと思います。しかしコストの問題が解消されれば、少額送金を使ったビジネスも可能になります。つまり、これまで一部の企業や大組織だけが可能だったビジネスの分野でも、個人が参入する余地ができるわけです。

まさに先生が先ほどおっしゃった「マネーの民主化」が起きるわけですね。

野口:はい。少額決済がビットコインでできるようになれば、ウェブでサービスを提供するようなビジネスが大きく盛り上がると私は見ています。個人で英会話個人レッスン、文章添削、投資コンサルティングなどができるようになります。あまり重いものですと送料がかかってしまうので割に合いませんが、ハンドメイドの作品などを売る、といったことも容易にできるようになるでしょうね。

 インターネット上の課金ビジネスが、少額決済によってよりやりやすくなり、活発になります。この動きは、長い目で見れば、広告ビジネスを主体にしているインターネット上の商習慣の在り方を大きく変えるきっかけになるかもしれません。

誰もがビジネスを始められることは、最近の「働き方改革」の文脈の中で言われている副業推進などの動きを後押しすることにもつながりますね。

野口:仮想通貨を使ったビジネスだけでも、これだけ広がりがあるのですから、ブロックチェーン技術に範囲を広げれば、もっと可能性は高まります。いろんな仕事が省力化できるはずです。

 ブロックチェーン技術は、情報をデジタルで記録する新しい仕組みです。改ざんが事実上不可能であることと、多数のコンピューターでデータを共有管理し、取引を監視し合うことで、情報の正当性、価値を担保しています。

 このことは何を意味するかというと、取引の相手がどんな相手か分からなくても、安心して取引ができるようになるということです。ブロックチェーンがすべて、信用を担保してくれていますから。

すごい技術ですね。では、取引の正当性、信用性を証明するような仕事はなくなる可能性が出てきますね。

野口:その通りです。契約や証明、記録などに関わる仕事は、ブロックチェーン技術を活用すれば、自律的に契約を締結・執行してくれるので必要なくなります。第三者が介入せずとも、個人間であらゆる取引が完結しますから。行政書士や司法書士といった、契約作製に関わったり、契約内容を保証したりする仕事のニーズは激減するでしょうね。

 土地の売買を例に考えてみましょうか。まず、売買金額や支払い方法など、どんな条件がそろえば契約が成立するか、あらかじめ定義しておきます。それをブロックチェーン技術に組み込ませておけば、条件に見合う売り主と買い主が現れると、土地の売買、権利移転、代金支払い、契約成立、の4項目が自動的に執行されます。

 これらの記録はすべてブロックチェーン上に書き込まれるので、そのまま土地売買の証明書になります。