スマホ決済が新しいビジネスの土台に

 盒馬の顔認証を見てもわかるように、インフラとなったアリペイやウィーチャットペイの存在が新しい技術やビジネスの登場を促している側面もある。どうやって利用者からお金を受け取るか、現金をどのように管理するかに頭を悩ませる必要がなくなり、多種多様なベンチャー企業が出てくる土台になっている。

盒馬の店内にあるスマホ充電器の貸し出し機。貸し出しから返却の手続きまでアリペイを使用する

 例えば、中国の都市で広がったシェア自転車もスマホでの決済が前提だ。以前、「アマゾン超えた?上海に登場した無人コンビニ」という記事でも触れた無人コンビニをはじめとして、中国では無人店舗が次のビジネスとして注目を集めているが、これもアリペイやウィーチャットペイといったスマホ決済があればこそだろう。

 アリババの「双11」イベントでは、メディアが集まる会場に盒馬などの紹介とともに、無人店舗の実験店が設けられていた。11月初旬には、アリババも出資している家電量販大手の蘇寧雲商が上海市内の店舗に、無人売り場を開設した。無人店舗は江蘇省南京市に次いで2カ所目で、その後、北京市と重慶市にも設置した。

 蘇寧の無人店舗は同社の金融アプリに顔を登録した後、顔認証で入店。店を出る際はカメラ前に数秒経つだけで、自動的に代金がアプリから引き落とされる。金額は商品についたタグを読み取って計算している。現時点で販売している商品はサッカーのユニフォームや旅行用まくらなどで、まだ実験段階のようだ。

蘇寧の無人店舗「biu!」。商品を持って立つだけで支払いが終わる

 アントフィナンシャルは個人の信用度を判定する「芝麻信用(ジーマ信用)」というサービスも手がけている。信用度が高い人はホテル宿泊時やシェア自転車利用時の保証金を払う必要がないなど、様々な優遇を受けることができる。また信用度に応じて、スマホや電化製品、おもちゃなどをレンタルすることも可能だ。アリペイから始まった中国のモバイル決済サービスは、「現金消滅」という決済の変革を超えて、企業のビジネス構築や人々の行動にまで変革を起こそうとしているように見える。