不健全なものを排除することが重要

仮想通貨やICOを巡るトラブルが日本でも報告されています。

 金融庁ではこれまで何回か、仮想通貨やICOを巡るトラブルについて、利用者と事業者に対する注意喚起を行っています。利用者には、仮想通貨は価格下落や詐欺の可能性があること、ICOはプロジェクトの内容をしっかり理解した上で、自己責任で取引する必要があることを謳いました。事業者にはICOの仕組みによっては資金決済法や金融商品取引法などの規制対象となると指摘しました。関係法令に定めた登録なしに事業を行えば、当然に刑事罰の対象となります。

 あわせて、消費者庁や警察庁とも連携して、詐欺的なコインなどについての相談窓口もウェブサイトに掲載しました。他の省庁と協力しながら、不健全なものが排除され仮想通貨市場が健全に発展するよう、役割を果たしていきたいですね。

どのようになれば、特定のICO案件を調査するということになりますか。

 海外まで含めるとすべてのICO案件を調査することは不可能ですが、完全な「待ち」の姿勢ではありません。例えば、特定のICOに苦情が集っていれば、できるだけ広くアンテナを張って、自ら調べていくという形になると思います。

海外ではICO自体が禁止という国もありますが、日本は今後どうするべきでしょうか。

 禁止をした国はそれぞれの事情や背景などがあるでしょうから、そこを理解しなければ日本と単純に比較することは意味がないと思います。繰り返しになりますが、ICOについてもイノベーションの促進と利用者保護のバランスに意を配りながら、仮想通貨交換業者の適切な業務運営を促し、健全な仮想通貨市場を育成できるようにしていく必要があると考えています。

 各事業者がベストプラクティスを積み重ね、業界として自律的に自主規制ルールを策定するなど、各々の立場でどうやったら健全な市場が育成されるのかを考え、行動するのが非常に大事ですね。まだ、認定団体は統一されたものとなっていませんが、勉強会が開催されるなど、前向きな方向に進んでいると思っています。不健全なものをきちんと排除していくことが大事です。

9月末に11社が登録されましたが、一部事業者は審査が遅れているようですね。

 改正資金決済法では今年9月末までに登録を行う必要があると定めています。ただし、法施行時(4月1日)に業を行っていた者がそれ(9月末)までに申請をしていれば、審査の結論が出るまでの間は「みなし業者」として業務を継続することができるとしています。「みなし業者」については現時点で、19社の審査を進めているところです。

 登録審査においては、公表されているチェックリストに基づく形式審査だけではなく、実質面も重視した審査を追加的に実施しています。例えば、システム管理体制、マネロン・テロ資金供与対策、分別管理態勢、詐欺的コインの排除など、利用者保護に向けた内部管理体制などの有効性を検証し、登録後の継続的なモニタリングに繋げています。

取り扱う仮想通貨の種類によって、登録が認められていないということもありますか。中にはビットコインやイーサリアムなどに比べても、非常に匿名性が高く取り扱いが難しいのではと思われる仮想通貨もありますね。

 金融庁としては、あくまでも仮想通貨交換業者の、業務の遂行体制や財産的基礎などの登録要件をクリアしているかどうかを審査している、というスタンスです。金融庁・財務局が仮想通貨としての価値を保証したり、推奨したりするものではありません。

 したがって、金融庁のウェブサイトに掲載されている仮想通貨交換業者が取り扱う仮想通貨は、仮想通貨交換業者の説明に基づいて資金決済法上の定義に該当することを確認しているに過ぎません。また、仮想通貨は、必ずしも裏付けとなる資産を持つものではないことにも留意が必要です。