突然の規制に混乱する中国の仮想通貨業界の中でにわかに関心が高まっている国が日本だ。今年4月に改正資金決済法が施行され、日本は仮想通貨の法整備で「先進国」に躍り出た。世界で初めて仮想通貨の法的な位置づけを明確化したほか、金融庁が取引所の基準を示すなど、投資家保護にも目配りした。金融庁幹部は「イノベーションと利用者保護のバランスを取りながら、業界の健全な成長を促す」と説明する。

日本法人を設立した深圳の仮想通貨取引所

 深圳市に本社を置く仮想通貨取引所の中堅企業は11月上旬、東京に現地法人を設立した。日本法人の常勤社員は6人で、日本の仮想通貨市場を調査することが現時点の業務だ。

 同社幹部は日本での取引所開設を検討していることを明らかにした。「金融庁が現在出している基準に照らせば、おそらく日本で取引所を開設することは可能だと思う。あとはどれだけ手間がかかるか。あまり面倒なようだとうまみはないから」とこの幹部は言う。

 日本に関心を寄せるのは投資家も同様だ。「日本で仮想通貨の投資をしたいのだが、何かいい方法はないか」。中国でロボット関連企業など複数の企業を経営する柴国強氏は、知り合いの男性から連絡を受けた。柴氏は日本でも働いた経験がある「日本通」。それを頼みに友人が連絡してきた。

 中国政府は一定の条件を設けた上で仮想通貨の取引を再び認めるのでは、といった観測も浮上している。だが仮に取引を再開したとしても、政府が為替や株式のコントロールを続けている中国では、いつ当局の規制が入るか分からない。自国の「カントリーリスク」を知った中国の事業者や中国人投資家をいかに日本に取り込むか。仮想通貨大国の日本にまたとないチャンスが広がっている。