マウントゴックス事件で100万円失う
最近の「バブル」に冷ややかな眼差しを向けつつ仮想通貨に資産を振り向ける投資家もいる。
立野新治さん(34)がビットコインへの投資を始めたのは2014年の2月。値上がりを期待して100万円分を購入した。このタイミングが悪かった。翌月には当時世界最大級の取引所であった「マウントゴックス」でビットコインの消失事件が起こったからだ。

SNSに流れていた情報を見てすぐに取引所でビットコインを円に替えるところまではできた。しかしそこから出金処理が進まない。結局、投資した100万円を失うことになった。
多くのメディアで報道されたこの事件、問題はビットコイン自体にあったのではなく、取引所の問題だったとされる。それでも当時はリスクの高さを痛感し、2年ほど仮想通貨から離れた。
離れていた間の値上がりを見て、チャンスを逃したと反省。昨年の夏ごろに再投資した。ビットコイン関連の仕事に携わる友人に勧められ、ビットコインの先物取引にお金を投じたところ、取引画面の使い方がよくわからないうちに相場が想定と逆に動き、わずか10分で収支がマイナスになってしまった。
期待はしていないが無視もできない
次に投資した仮想通貨は知り合いの紹介で知った「リップル」。とにかく待てど暮らせど相場は1円未満で鳴かず飛ばず。「また詐欺にあった」と思っていた。そんななか今年の4月、価格が6円ほどまで上昇したところで売却。うまく売り抜けたとほくそ笑んでいたが、その後も相場は上がり続け、翌月には40円を超えた。「仮想通貨のポテンシャルを全く見抜けていなかった」と悔やんだ。
かつてビットコインで痛い目に遭いながらも立野さんが仮想通貨に資産を振り向けるのは、こうした可能性があるからだ。バブルだとの指摘がありながらも相場が上昇し続ける仮想通貨。過度な期待はできないが、かといって機会損失も避けたい。無視はできない存在になっている。
仮想通貨に詳しい知人の相場見通しなどを参考に売買を重ね、資産の5割近くを占めるまでになったという立野さん。ただ今後については決して楽観的ではない。「仮想通貨自体が社会に取り入れられるか否かが、検証されている段階だろう」と冷静にとらえている。
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