親には言っていない

 「ちょっと将来が不安になってきた。結婚を許してくれた親にビットコインで生活しようとしていることは言っていない、というより言えない」と荒川さん。それでも夫に「(ビットコイン投資を)やっぱりやめなよ」と言えないのは、自分自身も仮想通貨の値上がりに期待しているからだ。

 かつて資産の運用対象として名前が挙がったのは、不動産や株式、債券、金といったものが中心だった。そこに加わったのが、急ピッチの相場上昇が話題になる、ビットコインを筆頭とする仮想通貨だ。

 今年に入って仮想通貨に投資し始めた斉藤一樹さん(36)もその1人だ。

 15年間ドラッグストア業界でサラリーマン生活を送ってきた。もともと節約志向が強く、1500万円以上の貯金があった。だが、ある時、飲み会代などがかさんでわずか2カ月間で60万円ほど使ってしまった。思わぬ浪費を反省すると同時に、老後に備えて資産運用を考えるようになった。

 貯金を元手に人生初の投資を始めることにした。目を付けたのは、SNSを通じてつながった知人から教わったビットコインだ。わずかの手数料で海外に送金できるといった技術に魅せられ、未来のお金になると確信したという。

 今年1月にビットコインを100万円分購入。その他、「イーサ」や「イーサクラシック」「リップル」といった別の仮想通貨も立て続けに購入。その後の売買は1度しかしていない。資産規模は明かさないが原資の10倍ほどに膨れあがった。

 「今年は仮想通貨元年。来年以降も市場規模が大きくなることは見えていますから」。斉藤さんは長期的な相場上昇に自信を見せる。少なくとも東京オリンピック・パラリンピックのある20年までは普及拡大が続くと見ており、長期保有する構えだ。

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