新しい顧客セグメントを創造した

 MUJIの思想を理解してくれる人に向けてアイテムを増やしていくという考え方は、顧客のセグメントを「ライフスタイル軸」で分けることと似ている。つまり、MUJIの考え方に共感するようなライフスタイルを目指す顧客セグメントをターゲットにして、品ぞろえを広げていると見ることもできる。

 しかし当初は「MUJIの考え方に共感する人」というセグメントがはっきりと存在したわけではない。マーケティング的な分析でセグメントを特定したというより、新しいセグメントを創り出したと解釈するほうがいいのではないだろうか。

 1980年代当時には、MUJIの思想を理解できる人は少なかったかもしれないが、徐々にMUJIの提案するライフスタイルは多くの人に理解されるようになってきた。それも世界的にである。MUJIは、自分たちの考え方を理解してくれる顧客セグメントを創造してきたのである。

 むろんカテゴリーにより競合も現れ、各カテゴリーでの競争は簡単ではない。しかしながら、ここまで広い商品カテゴリー全体によって築かれているMUJIのライフスタイルの世界観は、他社に真似のできない競争優位となっている。

増田明子著/日経BP社/1620円(税込)
 なぜ無印良品(MUJI)は世界中の人から好かれるのか? MUJIの商品開発に10年間携わり、現在はマーケティングの研究者になった著者が、MUJIが大事にしている考え方、商品開発の体制、戦略のユニークさなど、MUJIの秘密をわかりやすく解説。MUJIが好きな人、MUJIが好調な理由を知りたい人、商品開発を担当する人、事業のグローバル展開に関わる人など、誰が読んでもヒントが得られるマーケティング入門書。