日経ビジネス11月14日号特集「出光、トヨタ、サントリー 創業家の作法」では、創業者トップの苦悩について触れた。彼らに共通する最大の悩みは、自ら大きく育ててきた会社を誰に引き継ぐのかという点だろう。家庭用ゲーム大手、カプコン創業者の辻本憲三会長兼CEO(最高経営責任者)の決断はその点で明快だ。「家業であるゲームのことを誰よりも分かっている」との理由から、社長兼COO(最高執行責任者)である長男の春弘氏を含む3人の子供を会社に入れ、要職に就けた。事業継承に関する考え方について辻本会長に聞いた。
(聞き手は林 英樹)

現在、社長を含む子供3人がカプコンで働いています。どのような考えから3人とも入社させたのでしょうか。
辻本:息子3人のうち、長男は社長を務めている。彼は10歳ごろから、それこそカプコンが町工場みたいな小さな会社だったころから手伝いに来ていた。
足でゲーム操作する三男
次男はグループの資産管理会社の社長です。家にインベーダーゲームの機械を置いていたが、三男は幼稚園の頃から足だけで操作できるんや。彼は今、「モンスターハンター(モンハン)」シリーズのプロデューサーを務めている。
子供たちは家で商売を手伝いながら学校に通っていた。だから商売のことを誰よりも知っている。入社するのが自然だろう。
血の分けた子供だからという理由よりも、事業のゲームのことを誰よりも知っているから継承したということでしょうか。
辻本:そうやな。私が50年ちかく会社をやってきたのを一番近くで見ている。おカネ出して良い学校に行かしたるからという世界ではなく、ずっとゲームを見させてきた。長男で40年見ています。それこそゲームが体に染みついているんやな。
カプコンの設立当初から子供たちに継がせることを考えていたのでしょうか。
辻本:家業やからね。ましてや日本の男の子は嫌いじゃないですよ、ゲーム。幼稚園の頃からやっている。だから無理強いしなくても自然と体に染み込むことになった。
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