「我々は一生、ディズニーと付き合っていける」
マーベルは、2009年、ウォルト・ディズニー・カンパニーに買収されました。率直に、どんな感想をお持ちになりましたか。
柳:「買収後もマーベルは独自の路線で運営してよい」というのが買収の条件だったと聞いています。ですから、心配や不安はありませんでした。従来のマーベルの伝統やよさを守りながら、ディズニーの映画作りやテーマパーク運営のノウハウなどが加わり、どんな新展開が生まれるのだろうと、わくわくしましたね。
買収による変化は出てきていますか。
柳:海外のディズニーパークでは、すでにマーベルコーナーが設置されていて、例えば、映画公開日に「キャプテン・アメリカ」と一緒に写真を撮るようなことができる。香港のディズニーランドでは、「アイアンマン」のライドが建設中。フロリダのディズニーワールドには、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」のライドができるという。日本のディズニーランドでは、難しいみたいですけれど…。いろいろと事情があるようで。
ミッキーマウスをはじめとしたディズニーのキャラクターはファンタジー色が強い。逆にマーベルは戦闘シーンも描かれ、ファン層は男性が中心。うまく同居できるのか、心配するファンも多かったのでは?
柳:もちろんそうしたファンの声も聞きますが、ディズニーとマーベルはお互いにリスペクトし合っていますから、問題はありません。2014年公開の映画「ベイマックス」は、「マーベルのキャラクターを使ってディズニーが映画化したらどんな作品になるか」という実験的な試みによって生まれた作品。結果、大成功を収めました。
子どものころディズニーの世界に親しんだ人も、大人になるとファンタジー色が強いディズニーからは離れていってしまう。ディズニーにとってマーベルは、そうした顧客離れを食い止めるうえでの新たな受け皿となりますね。
柳:買収の最大の狙いは、ずばりそこでしょう。ディズニーは女性に大人気で、ディズニー傘下のピクサーが作った映画「カーズ」は男児に大ウケした。でも、男性にはその先がありませんでした。
ディズニーが2012年に買収したルーカスフィルムにも同じことがいえますが、マーベルの買収によって、ディズニーはすべての年齢層をターゲットとして手に入れました。我々は一生、ディズニーと付き合っていけるということです。
日本のマーベルファンも、やはり男性がメイン?
柳:中心は男性ですが、女性ファンがすごい勢いで増えていると実感しています。イベントの来場者では、女性の数が勝っていますね。女性6、男性4という感じ。年齢層は、10代後半から20代がメインです。
マニアックなファンも女性が多いですね。ほとんどの映画は、先にアメリカで公開され、日本では遅れて公開される。そこで、アメリカまで鑑賞に出かけるファンがいますが、そうした熱狂的なファンは女性が中心です。
その女性たちは、どこからマーベルの世界へ入るのですか。
柳:映画のキャラクターですね。今、女性に人気のキャラクターは、ロキ、ウィンター・ソルジャー(バッキー・バーンズ)、キャプテン・アメリカ。この3人ですね。
男性ファンは、行動力がない?
柳:映画を見るために海外に行くより、フィギュアなどにお金を使う人が多い。20~30代のハードコアなファンは、3万円くらいの高価なフィギュアを平気で買いますから。
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