2009年、米ウォルト・ディズニーによって買収されたアメリカンコミック(アメコミ)の大手出版社マーベル。買収以前から、マーベルのコンサルティング業務を請け負ってきたのが、マーベル・オフィシャルコンサルタントの柳 亨英氏だ。
アジア展開を担当するマーベルのバイスプレジデント・C.B.セブルスキー氏とも親交がある柳氏に、日本でも着実にファンを増やしつつあるマーベル作品の魅力や、日本におけるマーベルの事業展開について聞いた。
(前回から読む)
「同じ世界に生きているから、ヒーローたちが共演できる」
今年公開されたマーベルの映画「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」では、「アイアンマン」や「キャプテン・アメリカ」をはじめとしたたくさんのスーパーヒーローたちが共演しています。アメコミでは、クリエーターの著作権はどのように扱われているのでしょうか。日本では、作者が著作権を持つのが一般的で、こうした共演は難しいですよね。
柳 亨英氏(以下、柳):大手出版社に関しては、出版社側が著作権を所有しています。最近はクリエーターに著作権を持たせる出版社も出てきていますが、マーベルは出版社側が権利を持っています。
出版社が著作権を持つことのメリットは?
柳:それぞれの作品を包括する世界を、出版社側がコントロールすることができます。わかりやすく言うと、出版社が一つの世界を作り上げ、その世界を舞台に「アイアンマン」や「キャプテン・アメリカ」といった個別のストーリーが展開される。
つまり「アイアンマン」も「キャプテン・アメリカ」も同じ世界を生きているわけですから、「アベンジャーズ」のように、共演を果たすことも可能になります。各クリエーターが著作権を持っていると、こうした共演は難しいでしょうね。
ほかにメリットはありますか。
柳: 現実の世界ともリンクさせやすいですね。マーベルの作品には、9.11同時多発テロやシリア難民の話なども描かれます。出版社がすべてをコントロールし、どこまでの描写が可能なのかを判断しているから、できることです。
では、米国の次期大統領に就任するドナルド・トランプ氏が作品内に登場する可能性もある?
柳:まだ登場していませんが、出てくる可能性は高いでしょう。時間の問題だと思いますね。
どんな役どころでしょう?
柳:めちゃめちゃ悪役でしょう(笑)。キャラが立ちやすそうなので、どんな形で登場するかちょっと楽しみです。
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