「今回のブームはこれまでとは違う」

長い歴史をもつマーベルですが、日本ではなかなか人気が拡大しませんでした。その理由をどう分析されていますか。

:これまで、まあまあのアメコミブームはあったんです。特に1970年代から80年代初頭にかけては、アメリカンカルチャーが大きなブームになった。『BRUTUS』や『POPEYE』といったアメリカ的な雑誌が流行り、マーベルのヒーローも記事として取り上げられました。

 でも、時間が経つと、読者は「日本には多様な文化があるので、わざわざアメリカのカルチャーに目を向けなくても」と意識が変化してくる。日本には素晴らしい漫画の文化があるのも、大きな理由でしょうね。

今、アメコミの人気が拡大しています。でも、それも一過性のブームで終わるのでしょうか。

:いや、今回のブームはこれまでとは違うと感じています。というのも、最近の日本の漫画には、アメコミの影響を受けた作品が多い。例えば、今、『少年ジャンプ』で人気の「僕のヒーローアカデミア」という作品は、アメコミのヒーローの図式を日本の漫画のスタイルに落とし込んでいます。そこから、アメコミに関心をもち、マーベルの世界に入っていく読者の増加も考えられます。しかも、今のアメコミはマッチョなヒーローが活躍する単なる勧善懲悪物ではありません。日本人の心にも響く作品が豊富にあります。

ヴィジュアル面ではどうでしょうか。以前は、日本人には合わないような印象もありましたが。

:昔とは、まったくイメージが違いますよ。以前は色遣いが派手で、線が太く、いかにもアメリカンスタイルという感じでしたが、今はシックな色合いや繊細なタッチを駆使した作品が豊富。バリエーションに富んでいて、選択の幅がぐっと広がりました。

どうしてバリエーションが豊かになったのでしょうか。

:世界中のクリエーターを集めているからでしょうね。今人気の「ミズ・マーベル」という作品を描いているアーティストは日系カナダ人。日本の漫画の影響を強く受けていて、やわらかみのある図柄に仕上がっています。

 日本人や日系人のほか、マーベルには世界中のクリエーターが集まっている。アメリカ以外では、ヨーロッパの各都市、フィリピン、ブラジル、メキシコ…。元ボスニア難民というクリエーターもいる。アフリカ以外は、全大陸を制覇しています。

*12月8日公開予定「トランプ氏、マーベル作品への登場も間近?」に続く

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