「共通するのは、徹底したリアリティー」

マーベル作品の特徴とは。

:どの作品にも共通するのは、徹底したリアリティー。映画を見ていただければわかると思いますが、現代のニューヨークを舞台にしていたり、キューバ紛争について描いていたり、現実の世界をうまく取り込んでいます。民族対立、ナショナリズムの台頭、格差の拡大…。今クローズアップされている現代社会の問題点を、マーベルは60年代からずっとテーマにしてきている。そこが、マーベルのすごさですね。

日本にも「ウルトラマン」や「仮面ライダー」など、たくさんのヒーローがいます。そうした日本生まれのヒーローとマーベルのヒーローの違いは何だと考えますか。

:根本的に大きい違いはないと思います。弱い者を助けますし、いろいろなものを犠牲にして人々のために戦っているという構図は、「仮面ライダー」もマーベルの「アベンジャーズ」も一緒です。

 ただ、ちょっと辛口な意見になりますが、最近の日本のヒーローは玩具メーカーが誘導している面が強く、本当のテーマより視覚的な要素が重視され過ぎている。作品に込められるはずのメッセージ性が薄くなっているのではないでしょうか。

以前のヒーローはもっと濃かった?

:「ウルトラマン」には放映開始のころ、沖縄問題をはじめ、深いメッセージが込められていた。でも、今のヒーローは、ちょっと子供だまし過ぎる。だから、日本でも若い世代を中心にマーベルの人気が高まっているのかもしれません。いつの時代も、人って、自分の気持ちを投影できたり、自分の思いを代弁してくれたりするヒーローを求めるところがありますからね。

アメリカでは、世代を超えてマーベルが根付いています。

:1941年に登場した「キャプテン・アメリカ」は、4世代にわたって認知されています。おじいちゃん、ひいおじいちゃんの世代は、「キャプテン・アメリカ」に励まされながら戦場に行っていた。アメリカでは、誰もが知る存在ですね。

 「キャプテン・アメリカ」はある意味、アメリカが建国された理由を具現化した存在だと捉えている人も多い。「自由を守り、人々のために戦い、そして世界を救う。それがアメリカ合衆国だ」。その理想を具現化しているキャラクターだから、これだけアメリカ人に愛されているのでしょう。

「キャプテン・アメリカ」をはじめ、マーベルのヒーローは、マスクをかぶっても、顔が半分見えているキャラクターも多い。「仮面ライダー」「ウルトラマン」など、顔を完全に隠すフルフェースマスクが中心の日本とは違いますね。

:子どもが安心して見られるよう、マスクで顔が完全に隠れないように工夫していると聞いています。特に口元って重要ですよね。ちゃんと見えている口から「大丈夫だよ」と言ってもらえると、人は安心します。そうしたリアル感や、時には弱さを表現するために、口元が見えるキャラクターが多いと考えられます。

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