2009年、米ウォルト・ディズニーによって買収されたアメリカンコミック(アメコミ)の大手出版社マーベル。買収以前から、マーベルのコンサルティング業務を請け負ってきたのが、マーベル・オフィシャルコンサルタントの柳 亨英氏だ。

アジア展開を担当するマーベルのバイスプレジデント・C.B.セブルスキー氏とも親交がある柳氏に、日本でも着実にファンを増やしつつあるマーベル作品の魅力や、日本におけるマーベルの事業展開について聞いた。

(聞き手:川岸 徹)

「マーベルでは多くの日本人クリエーターが活躍している」

柳さんは、日本で唯一のマーベル・オフィシャルコンサルタントです。具体的にどのような仕事をされているのですか。

柳 亨英(やなぎ・あきひで)氏 翻訳、ライター、エディターとアメコミ関連の仕事を幅広くこなす。 近作に『アメコミフロントライン』(河出書房新社刊)。youtubeアメコミチャンネルの運営も。

柳 亨英氏(以下、柳):簡単にいうと、マーベルのバイスプレジデントであるC.B.セブルスキーのお手伝いですね。

 彼はアジア全体の統括を担当していて、日本でのマーベルの展開にも力を注いでいます。その業務のなかで、アドバイスをするのが私の役割です。「日本でこのコミックはどの程度認知されているのか」「この商品はヒットすると思うか」といった質問に答えます。あとは、出版社の編集者的な仕事が多いですね。

編集者的な仕事とはどんな?

:C.B.セブルスキーは、日本の優秀なクリエーターを発掘してコミックに起用しています。かなり以前から、マーベルでは日本人が活躍しているんですよ。

 「サイレントメビウス」の作者である漫画家の麻宮騎亜先生は、一時期、マーベルのアメリカ本誌で「X-MEN」の連載を数話担当しました。最近では、グリヒルさん、タケダサナさん、白浜鴎さん。そうした日本人アーティストの制作業務を手伝います。翻訳作業に力を貸したり、編集部とのやり取りの間に入ったり。ほかにもいろいろな業務全般を請け負います。

マーベルに関わって、どのくらいになるのですか。

:もう14~15年になります。最近はマーベルの仕事が増えていますが、ほかのアメコミの仕事もします。日本で、「もっとアメコミを盛り上げたい」というのが私の思い。そのためには、なんでもやります(笑)

 最近、吉本興業のアメコミ好き芸人4人が「アメコミリーグ」というグループを立ち上げた。彼らとともにイベントを実施したり、「YouTube」のチャンネルを立ち上げて「アメコミおもしろいぞ」と訴えたり。さまざまな角度からアメコミ啓蒙活動を行っています。

「マーベルに日本一詳しい男」ですね(笑)

:いやいや。キャラクターや世界観については、私より詳しい方はたくさんいます。ただ、ビジネス的な観点からマーベルを見ることに関しては、かなり知識があるほうだと思います。