「ちょっといい風が吹くと、大台も狙えるかもしれない」

具体的には、この作品の上映に向けて、現在どんなプロモーションを行っているのでしょうか。

井原:「Twitter」や「Facebook」といったSNSを利用して、きめ細かく情報を打ち出していく手法がメインですね。5~6年前でしたら、テレビでCMを流せば、大きな反応がありました。でも、今はテレビCMの効力が落ちているように感じます。

 これは私の肌感覚ですが、以前は4~5回、テレビCMを見れば認知してもらえたのが、今では7~8回見ていただかないと覚えてもらえない。そのくらいの差が生まれているように感じます。もちろん、テレビでのCMも重視していますが、それだけでは足りない時代だといえます。

SNSでのPRのほうが効果があると?

井原:正直なところ、SNSでの広告展開も難しいですね。好きな動画を見ている時にCMが流れると、スキップしてしまいますよね。ですから、テレビなどの大きく打ち出す広告と、SNS上での細かな宣伝の両方を、丁寧に、細かく作業していかなければなりません。

作業量が増え、難しい時代になりましたね。

井原:マスマーケティングの大きな変革期ですね。正直、ハードルは高いです。

「ドクター・ストレンジ」の興行成績をどのように予想されていますか。大ヒットは間違いない?

井原:日本より先に公開された韓国や中国をはじめ、世界では軒並み大ヒットを記録しています。ただし、日本はマーベル自体の人気が、「これから」といったところ。発展途上だと思っています。ですから、高望みをするよりも、マーベルのファン数を着実に増やしていきたい。ドクター・ストレンジがそのひとつのきっかけになればいいですね。

控えめですね(笑)。

井原:とは言え、実は、「日本でも大ヒットする」という気持ちが、封切が近づくにつれ日に日に大きくなってきているんです(笑)。それだけ映画の完成度が高いですから。

興行成績が100億円を超えるメガヒットになる可能性もある?

井原:ディズニーではアニメーション作品や「スター・ウォーズ」シリーズで、100億円超えを実現しています。私はどんな作品に対しても、「ちょっといい風が吹くと、100億円超えはあるかもしれない」とずっと言い続けています。まあ、結果はわかりませんが、言い続けることは大切です。

昨年、「君の名は。」や「シン・ゴジラ」をはじめ、数多くのヒット作が生まれました。映画界にいい流れが来ているのではないでしょうか。

井原:捉え方次第ですね。日本はエンターテインメントの文化がすごく細分化されていて、それぞれの質がとても高い。ゲーム、漫画、アイドル…たくさんの楽しみがあります。その中で、1人当たりの映画を見る回数を増やすのは簡単ではありません。ヒット作が多いということは、脅威にもなります。日本は見る目の厳しいマーケットです。

なるほど。具体的な目標は立てているのでしょうか。

井原:もちろん目標はありますが、公表はしていません。現在、日本では1年間に1200本近くの映画が公開されていて、その中で興行収入が10億円を超えているのは全体の5%程度。その数字が1つのベンチマークになっています。