40度程度のお湯で心身ともリラックス

 前述の早坂教授によると、「40度程度のぬるめの湯に10~15分浸かると、副交感神経が優位になり、心身ともにリラックスした状態を作り出すことができる」という。すると、血圧は下がって筋肉も弛緩し、血管も広がって血行も良くなるので、運動後であれば、疲労物質の排出も促されるようになる。

 「いつもより過剰に体を動かした運動直後というのであれば、また少し特殊に考えなければいけません。筋肉の使い過ぎで炎症を起こしている部位があるのであれば、アイシングを行って二次的低酸素障害を軽減させてあげる必要があります(関連記事はこちら)。また、アイスバスで下半身を冷やすことで、いち早くクールダウンすることも疲労回復に役立ちます。さらに、温浴と冷浴を繰り返す、交代浴という方法を行ってもいいでしょう」(中野さん)

 自宅ではなかなか水風呂まで作れない。そこで10リットル程度のバケツに水を入れ、足からふくらはぎの下腿三頭筋までをそこに入れる、あるいはシャワーで水を掛ける、そして温めるという方法でもいい。「効果を実感したいのであれば、最初は片脚だけでアイスバス、もしくは交代浴をやってみるといいですよ」と中野さん。

 「実は私自身がウルトラマラソンを走った後に試しました。いつもはすぐに両脚ともやってしまうのですが、この時は“どれくらい違うのだろう?”と自分の体を使った実験でした(笑)。すると、明らかにアイスバスを実践した側は疲労回復が速く、翌日も非常に楽でした。一方で処置を行わなかった側は、夜寝る時も熱を持った感じが続き、翌日も重たい感じと若干の痛みがありました。疲労が抜けきれないんですね」(中野さん)

 営業職で革靴を履いてたくさん歩く人や、一日中ハイヒールで過ごさなければならない女性などは、気が付かないうちに足裏から下腿三頭筋などの筋肉群に疲労が蓄積していることが多い。それが筋肉の硬直や痛みとして現われるのだ。

 健康のためにと行なった運動の直後だけでなく、仕事で目いっぱい動き回った一日の終わりにも、軽く交代浴などをやると精神的にも肉体的に疲れを癒すことになる。家では難しいというのであれば、たくさん働いた自分へのご褒美として、そして明日への活力のために水風呂などがあるスーパー銭湯やサウナなどを利用してもいいだろう。その日の疲れは、その日のうちに解消するのが、健康生活を維持するための基本だ。

中野ジェームズ修一(なかの ジェームズ しゅういち)さん
フィジカルトレーナー/米国スポーツ医学会認定運動生理学士
中野ジェームズ修一(なかの ジェームズ しゅういち)さん 1971年生まれ。日本では数少ない肉体面と精神面の両方を指導できるトレーナー。卓球の福原愛選手など日本のトップアスリートだけでなく、高齢の方の運動指導も行う「パーソナルトレーナー」として活躍。日本各地での講演も精力的に行っている。近著に「青学駅伝チームのコアトレーニング&ストレッチ」(徳間書店)、「世界一やせる走り方」(サンマーク出版)など多数。